← 戻る 賴床行旅

青い光の中で、肩と肩の距離を測っていた

青い光の中で、肩と肩の距離を測っていた

もしあなたが、この部屋を予約しようか迷っているのなら。あるいは、隣にいる誰かと、うまく言葉を交わせない午後の途中にいるのなら。ただ、この手紙を読んでほしい。正解を出すための旅ではなく、心地よい不確かさに身を任せるための場所があることを、伝えたいから。

潮風が染み込む、灰色の静寂に身を浸して

指先で触れた壁は、ひんやりとしていて、わずかにざらついた感触があった。賴床行旅の清水模の壁は、単なる建築素材ではなく、外の世界の喧騒を遮断し、心を凪の状態へと導く静かなフィルターのようだ。3月の花蓮の光はどこか淡く、海から運ばれてきた湿り気が、毛細管現象のようにゆっくりと部屋の隅々まで浸透してくる。窓の外に広がる太平洋の深い青が、灰色の壁にじわりと溶け出していく様子を眺めていると、自分たちの境界線さえも曖昧になっていく感覚に陥った。「ここなら、無理に言葉を探さなくていい」と、私は心の中で小さく呟いた。

特に、あの浴槽に身を沈めた時間は、今も鮮やかな記憶として残っている。お湯の表面張力が、空の淡い色を完璧な鏡のように映し出していた。水面に浮かぶ小さな気泡が、弾ける直前の張り詰めた静寂を保っている。私たちは、互いに何を考えているのかを言葉にしなかった。ただ、お湯の温度がちょうどよくて、肌に触れる水の重みが心地よかった。その心地よさだけが、今の私たちにとって唯一の真実だったのかもしれない。コンクリートの冷たさと、お湯の熱さ。その鮮やかなコントラストの中で、私たちはようやく、無理に距離を詰めようとするのをやめた。ただ、同じ青い光の中に漂っているだけで十分だと思えたから。

ふと、一階のライブラリーに足を踏み入れたとき、古い紙の匂いと静謐な空気に包まれた。そこに置かれたマッサージチェアをじっと見つめながら、あれに身を任せれば、人生のあらゆる迷いも一緒に揉みほぐしてくれるのではないか、なんていう、少しだけ間抜けな想像をしながら。そんな風に、意味のない思考に耽ることができる贅沢が、ここにはあった。

記憶の底に沈む、甘い温度と夜の足音

朝、目覚めると同時に届いたのは、手作りの朝食が放つ温かな湯気の匂いだった。オーナーが心を込めて用意してくれた、ふっくらとした白い肌の包子。そこに自家製のピリリと辛い辣醤を添えて口に運ぶと、驚くほど濃厚な旨味が広がった。口の中でゆっくりと溶けていくその温度は、冷えた身体だけでなく、冬の間に固まっていた心まで緩めてくれる。味覚というものは、時に記憶の扉を静かに開く。この温もりは、いつかどこかで共有したはずの、名前のない安心感に似ていた。

食後、私たちは東大門夜市へと向かった。歩いて10分ほどの道のり。3月の柔らかな風が、潮の香りを孕んで頬を撫でていく。本当は地図を見て最短距離で向かうはずだったけれど、途中でとりとめもない話に花が咲き、気づけば全く違う方向へ歩いていた。5分ほど迷い、立ち止まったとき、あなたが小さく笑って「まあ、いいか」と言った。その瞬間、胸の奥に小さな波紋が広がった。目的地に辿り着くことよりも、迷っている時間の心地よさの方がずっと重要だったことに、私たちは密かに気づいていたのだと思う。

夜市の喧騒の中に紛れ込むと、そこにはまた別の潮流があった。屋台から漂う香ばしい油の匂い、行き交う人々の賑やかな話し声、遠くで鳴るバイクの排気音。それらすべてが、心地よいノイズとなって私たちを包み込む。賑やかな場所にいながら、不思議と二人だけの静かな空間を維持できている感覚。それは、賴床行旅という静寂の拠点があったからこそ得られた、贅沢な均衡だったのかもしれない。私たちは、夜市の灯りに照らされた互いの横顔を見ながら、言葉にできない感情を、ただ大切に抱えて歩いた。

青い夜が明けるまで、私たちはただ、そこにいた。

  • 朝食の包子と自家製辣醤の組み合わせを、海辺の散歩の前にゆっくり味わって。
  • 夜市へ行くときは、あえて地図を閉じ、足の向くままに迷ってみることをおすすめします。

近くのグルメ・スポット

来成排骨麺

來成排骨麺は花蓮市中正路にある1948年創業の老舗小吃店で、独特の排骨酥(リブスーの唐揚げ蒸し)とコラーゲンたっぷりの豚足が看板です。排骨酥は揚げてから蒸すことで外はカリッとし、甘辛クリアなスープと合わさり、豚足はプリプリとした弾力ある食感。この二品を合わせた組み合わせは、地元の食通や観光客が必ず頼む定番メニューです。店内では内用席とチャイルドシートを用意。2025年に移転して駐車が便利になり、家族や友人との会食に最適です。

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公正包子

公正包子は花蓮市の老舗小吃店で、厚めの甘みある皮が特徴の小籠包で有名です。1個約5台湾ドルで、手作り調味の豚肉餡を包み、パンチが欲しい方は自家製唐辛子ソースを。小籠包以外にも蒸餃、湯包、肉羹麺、酸辣麺、貢丸湯、アイス豆乳、紅茶を取り揃え。2023年末に仁愛街と成功街の角へ移転し、人気の「廟口紅茶」の向かいに。小さな店構えですが地元民と観光客の長蛇の列が絶えず、花蓮に来たら外せない必食スポットです。

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公正街包子店

公正街包子店は花蓮市街の40年以上続く老舗小吃で、厚皮の小籠包と蒸餃が看板です。生地は手で延ばして柔らかくモチモチ、ほんのり甘く、シンプルな味付けの肉汁あふれる豚餡を包みます。蒸餃、湯餃、肉羹麺、酸辣麺、貢丸湯、アイス豆乳、紅茶なども提供。2023年末の移転後も人気は健在で、行列は減りましたが花蓮の必食小吃として外せません。価格も手頃で、小籠包は1個約5〜7台湾ドル、気軽に食べられる手軽さが魅力です。

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周家蒸餃

周家蒸餃小籠包は花蓮市の公正街にある老舗で、50年近くにわたりその場で包んで蒸す蒸餃と小籠包が看板です。3種類の蒸餃、手作り小籠包、酸辣湯、肉羹湯、ルーロー飯など多彩なメニューを取り揃え、24時間営業。朝食、ランチ、ディナー、夜食とどんな時間でも利用できます。蒸餃は10個で約30台湾ドル、小籠包は10個で約40台湾ドルと手頃で味も鮮やか。長蛇の列が日常で、地元民と観光客双方の必訪グルメスポットです。

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