← 戻る 旅人驛站米豆文旅[臺東縣合法旅館013號]

こぼれたミルクと、窓の外の白い花

陽だまりの朝食と、ほどけていく心の結び目

指先に触れるグラスの結露がひやりと冷たく、心地よい刺激で意識がゆっくりと覚醒する。旅人驛站の朝食会場には、5月の湿度を含んだ温かな空気が満ちていて、どこか懐かしい故郷のような匂いが漂っていた。香ばしいコーヒーの香りと、誰かが焼いているトーストの甘い香りが混ざり合い、周囲の賑やかな雑音の中に溶け込んでいる。次男が「どっちのフルーツを食べるか」で長男と小さな口論を始めて、「もう、いい加減にしなさい」となだめるふりをしながら、私は温かいスープをゆっくりと口に運んだ。ふと見ると、長男がテーブルにミルクを少しこぼしていた。白い液体がリネンの端にじわりと広がっていく様子を眺めていて、なんだか今の私たち家族の状態に似ているなと思った。家ではあんなに張り詰めていた「親としての役割」という硬い殻が、この街の緩やかな時間の中で、温かい水に溶ける塩のように、ゆっくりと形を失っていく。スタッフの方が忙しく動き回りながらも、子供たちの騒ぎに小さく微笑んでいるのが見えた。完璧な朝食の時間なんて、この家族には無理かもしれない。けれど、その不完全さこそが、ここでは正解であるような気がした。窓の外には、5月の強い光を浴びた白い百合の花が揺れている。その鮮やかな白さが、目に焼き付いて離れなかった。

迷い込んだ路地裏と、黄金色の幸福感

ホテルを出て台東の街を歩き始めたとき、空気の中に潮風とノコギリソウの甘い香りが混ざっていることに気づいた。5月の太陽は想像以上に力強く、歩き始めて10分もしないうちに、子供たちの額には小さな汗の粒が浮かぶ。私たちは「チーム」として作戦を立てていたはずだったが、実際には次男が道端の不思議な形の石に心を奪われて立ち止まり、長男が「あっちに美味しいお店がある!」と地図を無視して走り出す。結局、予定していた観光スポットには行かず、路地裏で見つけた小さな店で、地元の人たちが食べているような素朴な軽食を頬張った。揚げたての鶏肉の熱さが指先に伝わり、口の中で弾けるジューシーな果汁が、歩き疲れた体に染み渡る。子供たちが口の周りをソースだらけにして笑い合っているのを見て、私はふと、旅の目的とは何かを考えた。有名な景色を見ることではなく、こうして一緒に「迷子になること」を楽しむ時間こそが、私たちが本当に求めていたものだったのかもしれない。湿度79パーセントの空気は肌にまとわりつくけれど、それが不思議と心地よい。誰かと一緒にいるという感覚が、物理的な温度として伝わってくる。私たちは、この街のリズムに自分たちの歩幅を合わせていく。急ぐ必要なんてどこにもない。ただ、目の前にある美味しいものの味と、子供たちの笑い声だけが、確かな真実としてそこにあった。

幻想的な壁画と、深夜の静かな共鳴

旅人驛站に戻ると、廊下に描かれた3Dの壁画が、夜の照明に照らされて不思議な奥行きを持って迫ってくる。次男が「ここ、本当に穴が開いてる!」と叫んで、壁に手を伸ばそうとして転びそうになった。その滑稽な姿に、家族全員で堪えきれずに笑った。部屋に入り、冷房で適度に冷やされたシーツに体を沈めると、一日中張り詰めていた筋肉が、ようやく完全に弛緩していくのがわかった。子供たちが深い眠りに落ちた後、私たちはコンビニで買った地元の豆腐料理と、少しだけ贅沢な地元のスイーツを、小さなテーブルに並べた。深夜の静寂の中で、カトラリーが皿に当たる小さな音が、心地よいリズムを刻む。昼間の喧騒が嘘のように静かだけれど、その静けさは孤独ではなく、満たされた空白のようなものだった。もともと私たちは、それぞれ違う周波数で生きている。親として、子として。けれど、この旅の終わりには、そのバラバラな音が一つの心地よい和音になっていた気がする。窓を開けると、夜風に乗ってどこからかホタルの気配が漂ってくる。見えないけれど、きっとどこかで小さな光が点滅している。明日になればまた、日常という名の戦場に戻るのかもしれない。でも、この部屋で共有した静かな時間と、子供たちの規則正しい寝息がある限り、私たちは大丈夫だと思えた。空っぽの空間に、温かい記憶がゆっくりと満たされていく。それは、何物にも代えがたい、贅沢な時間だった。

穏やかな寝息に包まれ、心まで満たされていく。

  • 旅人驛站の3D壁画の前で、家族で錯視写真を撮ってみて。視点を変えるだけで、世界が違って見えるはず。
  • 市街地を散歩し、地元で愛される名店の熱々フライドチキンを頬張って。5月の風と共に味わうのが一番美味しい。

近くのグルメ・スポット

七里香焼きまんじゅう

台東市正気路385巷7号にある30年以上の歴史を持つ地元小吃の老舗。拳大の巨大な焼き小籠包が看板で、外はカリッと中はふんわり、具がたっぷり。自家製甘辛ダレが風味を引き立てます。併せて各種ルーウェイ(燻製煮込み)も提供し、価格は手頃で焼き小籠包は1個25元。正気路と南京路の交差点近くの路地にあり、イートインとテイクアウト両方に対応しています。

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南北餃子館

台東市和平街117号の40年以上続く老舗。薄皮で弾力のある巨大な蒸し餃子が看板で、具がたっぷりジューシー。水餃子、焼きそば、炒め物、家庭料理も揃います。注文は手書きメニュー、タレはセルフ、辛いもの好きには自家製剥皮辣椒(皮むき唐辛子)がおすすめ。2階建ての店内は常に満席に近く、ランチ11〜14時、ディナー17〜20時30分、平均予算約400元。

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カジエルカジキ特産グルメ

台東成功鎮大同路115号にある、地元の鬼頭刀(マハタに似た白身魚)をテーマにした創意小吃店。魯肉飯、蚵仔煎(カキ焼き)、魚羹、フライ、水餃子など台湾料理に鬼頭刀を取り入れた手頃で郷土色豊かなメニューを展開。店内は古い台湾と原住民の要素を組み合わせた活気ある雰囲気で、台湾魯肉飯フェスティバルの推薦やグルメ番組でも取り上げられ、成功鎮の必食スポットです。

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ガジュマル米苔目

台東市中華路一段にある50年以上の歴史を持つ老舗。米苔目(細い米麺)が看板で、自家製唐辛子、黄金キムチ、香ばしい鬼頭刀の唐揚げなど小菜が評判。店内は広く行列時も回転が速く、冷房はないもののスープは飲みやすく昔ながらの味。台東観光で外せない名物料理の一つです。

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