首筋にまとわりつく11月の風が、驚くほど冷たかった。広瀬通駅からホテルまで歩くわずかな時間で、指先がじわじわとしびれ、感覚が遠のいていく。誰が一番先に「寒い」と音を上げるか賭けていたけれど、結局みんな同時に肩をすくめて、凍えた口を閉ざした。ダイワロイネットホテル仙台一番町 PREMIERのエントランスに滑り込んだ瞬間、洗練されたアロマの香りと共に、肺の奥まで温かい空気が流れ込んで、ようやく深い呼吸ができるという気がした。
炭火で焼かれる牛タンの、パチパチという小気味いい音。立ち上がる白い湯気が視界を遮るけれど、口に運んだ瞬間のあの濃い塩気と、弾けるような弾力に心まで解きほぐされる。隣で「これ、人生で一番かも」と大げさに嘆く友人の顔が、湯気の中でぼやけて見えた。正解の味なんてわからないけれど、あの時の熱さと、喉を焼くような幸福感だけは、今でも指先に残っている。
「ビジネスホテルだから狭いと思ってたけど、意外と余裕あるじゃん」と誰かが言い出した。バリアブルルームの機能的な空間は、27平方メートルという数字以上の開放感がある。スーツケースを二つ広げてもまだ、誰かが転がれるスペースがあることに安堵した。けれど、その直後に「誰だ、充電器忘れたやつは」という鋭い追求が始まり、壁のUSBポートを巡って部屋の温度が少しだけ上がった気がした。
ReFaのフットマッサージャーを巡る、静かな、けれど激しい椅子取りゲーム。機械が低く唸る振動音をBGMに、順番待ちをしていたとき、ふと気づいた。三人の靴下が、偶然にも全部同じくらいのくすんだ色をしている。そのあまりに地味で絶妙な一致に、私たちは同時に吹き出した。大して意味のない笑いだけど、そういう些細な瞬間があるから、このメンバーでの旅はやめられない。
定禅寺通りの並木が、深い赤に染まっていた。冷たい空気が頬を鋭く叩くけれど、遠くに見えるイルミネーションの光が、冬の夜空に宝石を散りばめたように輝き、心拍数を少しだけ上げる。完璧な計画なんて、最初からなくていい。ただ、この凛とした冷たさと光がある空間に、大切な友人たちと一緒に立っている。それだけで十分な気がした。
裸足で踏んだバスルームのタイルの温度が、心地よくひんやりとしていた。シャワーから出るお湯の圧力がちょうどよく、一日中歩き回った足の重みが、温かな水流にゆっくりと溶け出していく。鏡に映る、少し疲れたけれど満足そうな自分たちの顔。ここでは、外の世界で纏っていた礼儀正しさという鎧を脱ぎ捨てて、ただの自分に戻ってもいい。
カードキー一枚で出入りできる直結のローソンは、深夜二時の聖域だった。コンビニ袋がカサカサと鳴る乾いた音だけが、静まり返った廊下に心地よく響く。買ったばかりのアイスを分け合いながら、明日どこへ行くかも決めないまま、とりとめもない話を続けた。不便さや迷いさえも、後で笑い話になるという確信が、夜の静寂を温めていた。
重い掛け布団に潜り込んだとき、指先のしびれが完全に消えていた。168センチのベッドの広さが、今の私たちにはちょうどいい。外はまだ冷たい風が吹き荒れているけれど、この四角い空間の中だけは、繭に包まれたような心地よい温度で満たされている。明日になればまた社会的な顔に戻るけれど、今夜だけは、この深い安らぎに沈んでいたい。
枕元に置いた、飲みかけのペットボトルの結露が指に触れた。
- 定禅寺通りのイルミネーションを歩いた後、ホテル直結のローソンで温かい飲み物を買うのが正解だよ
- ReFaのフットマッサージャーは、争いになる前に早めに予約して使うのがおすすめ!