← 戻る 沖縄かりゆしリゾート EXES恩納

濡れたタオルの重さと、青すぎる海

潮風と喧騒が混じり合う、不器用な幕開け

湿り気を帯びた潮風が、頬にまとわりつく。2月の恩納村は、南国とはいえまだ少しだけ肌寒く、私たちはコートの襟を立てていた。沖縄かりゆしリゾート EXES恩納のロビーに足を踏み入れた瞬間、静寂を切り裂くように誰かのスーツケースが派手な音を立てて転がった。笑い声と、小さな言い争い。誰が予約し、誰がどの部屋に泊まるのか、結局最後まで曖昧なままだった気がする。大理石の床に反射する白く眩い照明に、私たちは少しだけ気後れし、「ここ、私たちには贅沢すぎない?」と誰かが呟いた。その言葉に全員が同意しながらも、内心ではこの贅沢な静寂に深く浸りたいと願っていた。そんな矛盾した空気が、私たちの旅の始まりだった。

この場所が教えてくれた、いくつかの滑稽な真実

ブルガリの香りと、背伸びした時間の儚さ
指先で触れたアメニティのボトルは、驚くほどひんやりとしていた。洗練されたフローラルな香りが指先に残ると、急に自分たちが「成熟した大人」になったような錯覚に陥る。けれど、その5分後には誰かがスナック菓子をぶちまけ、絨毯の上に砕けた破片が散らばったことで、その幻想はあっけなく崩れ去った。そんな不釣り合いな時間こそが、心地よかった。

足裏に伝わる冷気と、ベッドという名の底なし沼
深夜、ふと目が覚めてトイレに向かう途中で踏んだタイルの、芯まで冷えるような感触。そこから逃げるように部屋に戻り、ダイブしたベッドは、まるで巨大な雲に包み込まれたかのように体が沈み込んでいった。誰が先に寝落ちするかというくだらない賭けをしたけれど、結果は全員同時に、泥のように深い眠りに落ちた。人生で一番、重力から解放された夜だったかもしれない。

視界を塗り潰す、青の暴力的なまでの純粋さ
バルコニーに出たとき、目に飛び込んできたのは、言葉を失うほどの濃い青だった。海というより、巨大なインクを地平線までぶちまけたような、圧倒的な色彩。あまりに青すぎて、逆に現実味がない。私たちはしばらくの間、誰とも喋らずにその色を凝視していた。沈黙が重いのではなく、ただ色が濃すぎただけ。そんな単純な理由で、心が凪いだ瞬間があった。

ゴーヤーチャンプルーの苦味と、奇妙な連帯感
レストラン天で向き合った朝食。慣れないゴーヤーの強い苦味に、誰かが小さく顔をしかめた。けれど、この空間でそれを口にするのがなんだか恥ずかしくて、みんなで「美味しいね」と嘘をつきながら、ゆっくりと咀嚼していた。嘘をつきながら食事を共にするという、奇妙で滑稽な連帯感。結局、その気まずさこそが一番の調味料だったのだと思う。

リストの外側にあった、殻が割れる音

本当は、地元の梅まつりに行くという綿密な計画を立てていた。けれど、結局私たちは一歩も部屋から出なかった。EXES ロイヤルプールスイートのプライベートプールに身を委ね、ぬるいお湯の中で、とりとめもない話を延々と続けた。それは、地下深くで静かに眠っていた種が、ある日忽然、外圧に耐えきれずパキリと殻を割るような、そんな感覚だった。普段は隠している弱音や、誰にも言えないどうでもいい悩み。そういう形にならない感情が、お湯の温度に溶け出し、ゆっくりと地上に芽を出していく。私たちは互いに「大人」という硬い殻を被って生きていたけれど、この場所の静寂と、肌に触れる水の柔らかさが、それを脱ぎ捨てることを許してくれた。計画していた観光地よりも、この狭いプールの中での、とりとめもない会話の方が、ずっと価値があった。誰にも邪魔されない聖域で、私たちはただの「私たち」に戻っていた。

濡れたタオルが、バルコニーの椅子の上でゆっくりと乾いていく。

  • マイクロバブルのシャワーヘッドで、旅の疲れを物理的に洗い流してほしい。
  • レストラン天の沖縄スローフードは、時間を忘れてゆっくり味わうのが正解。