← 戻る Grand Mercure Nasu Highlands Resort & Spa

指先に残った、甘酸っぱい冬の記憶

指先に残った、甘酸っぱい冬の記憶

車を降りた瞬間、那須の冬の空気は研ぎ澄まされたクリスタルの針のように鋭く、けれどどこか清らかに頬を撫でた。肺の奥まで凍りつくような感覚に、私たちは自然と肩を寄せ合い、互いの体温を確かめ合う。グランドメルキュール那須ハイランドリゾート&スパのロビーに足を踏み入れると、外の静寂を塗り替えるように、子供たちの弾けるような笑い声が温かな波となって押し寄せてきた。空間に漂うかすかなアロマの香りと、柔らかな照明の光が、旅の緊張をゆっくりと解きほぐしていく。

家族での旅は、いつだって予定という名のレールから外れていく。今回宿泊した「Kids in Safari Room」の遊び心あふれる空間に興奮していた次男が、「温泉って、どうして地面から湧いてくるの?」と、哲学者のような顔で問いかけてきた。大人の私たちは一瞬答えに詰まったけれど、正解を提示することよりも、一緒に首をかしげて不思議がる時間の方が、ずっと贅沢で価値があるのかもしれない。そんな不確かな心地よさに身を任せ、私たちはただ、流れる雲のように緩やかな時間を過ごした。

私は少しでも大人っぽく振る舞いたくて、ふかふかのホテルローブを羽織った。けれど、子供たちにはあまりに長すぎた裾に盛大につまずき、危うくサイドテーブルのランプをなぎ倒しそうになる。それを見た子供たちは、笑うどころか、どこか哀れみの混じった視線を送ってきた。「完璧な親である必要なんてないのだ」と、子供たちに教えられた気がして、私は心地よい敗北感とともに笑った。

私たちの旅の記憶は、いくつかの鮮やかな断片として心に刻まれている。

冬の那須で分かち合った五つの記憶

特大のバスローブ — 子供たちの小さな体に不釣り合いなほど大きく、まるで真っ白な雲に包まれているようだった。生地が擦れるカサカサという乾いた音が廊下に響き、次男がそれを魔法のマントに見立てて走り出したとき、私たちはただ幸せな心地で笑っていた。最初に「大きいね」と声を上げたのは、一番小さな次男だった。

屋外岩風呂の湯面 — 表面張力でぷっくりと盛り上がったお湯に、長男がわざと足を突っ込んで大きな波紋を描いた。立ち上る白い湯気が視界を白く染め、隣にいる家族の気配だけが濃密に感じられる。硫黄の香りがかすかに混じるお湯の温度が心地よく、強張っていた肩の力がゆっくりと溶け出していく。この快楽を最初に発見したのは、水遊びに夢中な長男だった。

梅のジャムを添えたパン — 2月の那須に似合う、ルビーのように深い赤色をした酸味の効いたジャム。指先に少しだけついた粘り気と、口いっぱいに広がる甘酸っぱい刺激が、冬の朝を鮮やかに彩った。子供たちが顔をしかめながらも、もう一口欲しがる様子がたまらなく微笑ましかった。この味に真っ先に反応したのは、食いしん坊な次女だった。

窓ガラスの結露 — 外の冷気と室内の暖かさがぶつかり合い、ガラスが真っ白に曇っていた。そこに指で小さな笑顔を描くと、水滴がゆっくりと涙のように筋を作って流れ落ちていく。指先に伝わる冷たい感触が、外の世界との境界線を意識させた。この静かな遊びを始めたのは、好奇心旺盛な次男だった。

足裏に沈む厚い絨毯 — 深夜3時、静まり返った部屋でトイレに向かう途中に感じた、足首まで飲み込まれそうな絨毯の深い厚み。足音が完全に吸収され、自分の静かな呼吸音だけが耳に届く。その絶対的な静寂が、家族が隣で深く眠っているという究極の安心感に変わった。この感触に一番浸っていたのは、裸足で歩くのが好きな私だった。

泥だらけの小さな靴が、冬の陽光に照らされて誇らしげに輝いていた。

  • ビュッフェのデザートコーナーで、家族で「一番不思議な形のスイーツ」を探して盛り上がってみてほしい。
  • 屋外岩風呂で冬の山々の静寂に身を委ね、お湯のせせらぎだけに耳を澄ませる時間を5分だけ作ってみてほしい。