← 戻る TIAD, Autograph Collection

白いリネンに落ちた、冬の朝の鋭い光

予期せぬ心地よさに溺れた、5つの断片的な記憶

「誰が一番に起きるか」という不毛な賭け
ユーフォリアデラックスの客室に足を踏み入れた瞬間、私たちは吸い寄せられるようにベッドへ飛び込み、その柔らかさを競い合った。ひんやりとしたリネンの滑らかな肌触りと、身体を深く包み込む重厚な掛け布団の心地よさに、「あと5分だけ」という甘い囁きが止まらず、結果的に全員が正午近くまで泥のように眠るという、最悪に贅沢な敗北を喫した。外で吹き荒れる冬の乾燥した風さえも、遠い惑星の出来事のように感じられるほどの静寂と温もりに、私たちはただ身を任せていた。

水中に溶け出す、青い光のプリズム
屋内インフィニティプールに身を委ねると、水面から差し込む自然光が不規則に屈折し、底に揺れる繊細な光の網目を描き出していた。冷え切った指先がゆっくりとぬるま湯にほどけていく感覚に、「ここ、本当に名古屋なの?」と呆然と呟く友人の横顔が、水面の反射で淡いブルーに染まっている。泳ぐことよりも、ただ浮かんで光の粒を数えている時間の方が、人生においてずっと贅沢な時間なのではないかと、ふと本気で考えた瞬間だった。

冷たい風と、ロビーの温度差に笑った瞬間
久屋大通公園まで散歩に出たが、2月の風は容赦なく、鼻の頭が真っ赤に染まるほどに冷たかった。しかし、TIAD,オートグラフ コレクションの重い扉を開けて戻った瞬間、肺の奥まで満たされるような温かい空気と、土と植物が混ざり合ったバイオフィリックな香りに包み込まれた。あまりの温度差に、私たちは顔を見合わせて「もう二度と外に出たくない」と同時に口にし、その絶望的なまでの心地よさに、堪えきれない笑いが漏れたのを覚えている。

指先に残った、甘い味噌の記憶
名古屋の地元の味を求めて堪能した料理は、想像以上に濃密で、それでいて不思議と身体の芯に馴染んでいった。友人たちが「濃いな!」とツッコミ合いながらも、箸が止まらない様子を眺めていると、旅の醍醐味とはこういう身体的な満足感にあるのだと感じる。食後の指先にわずかに残った甘辛い香りと、ホテルのラウンジで飲んだ氷のように冷たい水のコントラストが、旅の輪郭を鮮やかに描き出していた。

グラスの縁に反射した、夜の静寂
メインバーで、琥珀色の液体がゆったりと揺れるグラスを眺めていた。照明は低く落とされ、周囲の話し声が心地よい低周波のノイズとなって空間に溶け込んでいる。私たちは深い人生相談をする代わりに、今日あった小さな失敗や、誰のせいでもない遅刻について、ひたすら低いトーンで笑い合った。グラスの縁に反射した小さな光の点が、まるで誰にも言えない秘密のように点滅していて、その静かな時間こそが、この旅で一番欲しかった救いだったのかもしれない。

散らばった記憶が、ひとつの呼吸になる

バラバラだった記憶の破片が、チェックアウトに向かう頃には、心地よい温度を持ったひとつの塊になっていた。都市の喧騒を濾過したような静寂の中で、誰かと一緒にいながら同時に一人でいられる。そんな絶妙な距離感を与えてくれる場所だった。豪華さやステータスという言葉で片付けるにはあまりにも惜しい。ただそこに身を置くだけで、浅くなっていた呼吸が深く、ゆっくりと整っていく。私たちは結局、人生の答えは見つけられなかったけれど、この光の屈折した空間にいたという事実だけで、明日からの景色がほんの数度だけ、違った角度から見える気がしている。

冬の午後の陽光が、ホテルの真っ白な壁に長い影を落としていた。

  • ユーフォリアデラックスのベッドで、あえて時計を忘れ、深い眠りに身を任せてみてほしい。
  • 屋内インフィニティプールで、水面に揺れる光の粒を数えながら、思考を止める時間を。