← 戻る TIAD, Autograph Collection

青い部屋で、眠った子の重さを数えていた

裸足で踏みしめたフロアのタイルが、驚くほどひんやりとしていた。深夜のTIAD,オートグラフ コレクション。ユーフォリアデラックスの静謐な空間の中で、子供たちが深い眠りに落ち、部屋にはただ、静かな呼吸の音が心地よいリズムを刻んでいる。その静寂は、単なる「音の不在」ではなく、ベルベットのように厚みを持った質感のようなものだった。

家族というものは、不思議な周波数を持っている。一人でいるときは至福であるはずの静けさも、誰かと一緒なら、それは「期待」や「不安」という名のノイズに変わりやすい。特に子供を連れた旅は、常に誰かの歩幅や気分に合わせるという、終わりのない調律の連続だ。けれど、このバイオフィリックな設計がもたらす自然光と緑に囲まれた空間は、あえてその調律を放棄してもいいと思わせてくれた。ラグジュアリーな空間という端正な基音に、子供たちの予測不能な笑い声という倍音が重なり、不揃いだけれど豊かな響きが生まれる。そんな、心地よい不協和音に包まれる旅だった。

私たちは、洗練された大人の時間なんて最初から期待していなかった。次男がプールの水面に指で秘密の地図を描き、長女が最高級のリネンに潜り込んで「ここは私たちの秘密基地だ」と歓声を上げる。そんな、ちょっとした乱雑さが、ホテルの持つ静謐な空気と混ざり合い、かえって贅沢な充足感へと変わっていく。正解を求めるのではなく、ただそこに在る感覚を大切にする。そんな贅沢な時間の使い方が、この場所には何よりも似合っていた。

私たちが一緒に見つけた、五つの断片

屋内インフィニティプールの深い青:ぬるま湯のような温度が肌にまとわりつき、水中で耳を塞げば、外の世界の喧騒が消えて自分の鼓動だけが太く響く。この完全な静寂に一番に気づいたのは、水の中を魚のように自在に泳ぎ回っていた次男だった。

最高級リネンの清潔な残り香:天日干ししたばかりの綿のような、どこか懐かしく甘い香り。肌に触れるたびに、心の中のささくれがゆっくりと平らになっていく感覚。この至福の心地よさに気づき、チェックアウトまでベッドから出たくないと駄々をこねたのは、意外にもしっかり者の長女だった。

窓から降り注ぐ五月の光の粒子:久屋大通公園の鮮やかな緑を透かして届く、柔らかく黄金色の陽光。空気中を舞う小さな埃さえも、光の粒となって踊り、時間がゆっくりと溶けていく。その光に目を細めて、「ここ、森の中みたいだね」と小さく呟いたのは、隣で微笑んでいたパートナーだった。

朝食の小倉トーストが放つ濃密な甘み:香ばしく焼けたバターの香りと、小倉あんのどっしりとした甘さが口の中で溶け合う。口の端にあんこをつけたまま、「おいしい!」と目を輝かせていた子供たちの無垢な表情。その純粋な食欲こそが、この旅で一番の贅沢だったと感じたのは、彼らを眺めていた私だった。

久屋大通公園を吹き抜ける風のささやき:街の喧騒が遠くで低く唸り、その上に木の葉が擦れる高い音が重なる。都市の心臓部にありながら、耳を澄ませば自然の呼吸が聞こえる不思議な調和。この繊細な音の重なりに気づき、ふと足を止めたのは、音を仕事にする私だった。

心地よい疲労感とともに、静かにドアが閉まる音がした。
(写真:夕暮れ時の柔らかな照明に照らされた客室の風景)

  • 朝7時、街が目覚める前に久屋大通公園を散歩し、新緑の香りを深く吸い込んでほしい。
  • プールで子供と一緒に、誰が一番長く潜っていられるかという、贅沢でどうでもいい競争に没頭してほしい。