頬を叩く風に、濃い塩の味が混じっている。誰が一番先に帽子を飛ばされるかというくだらない賭けをしたが、結果的に全員の髪が潮風に煽られてめちゃくちゃになった。かっこいい集合写真を撮ろうとしたはずなのに、出来上がったのは風に煽られて顔が歪んだ、ひどい写真ばかり。でも、その不格好さが、今の私たちにはちょうどいい気がした。
朝食の湯気が、冷えた指先にしっとりとまとわりつく。無料の朝食ビュッフェで地元の味がする温かい料理を口に運ぶと、胃のあたりからゆっくりと体温が戻ってくる感覚。誰が一番多く食べるかという、どうでもいい競争が始まった。結局、一番多く食べたのは、さっきまで「ダイエット中」だと真顔で言い張っていたあいつだった。
「地図を読むのが絶望的に下手だね」と、お互いの顔を見て笑い合う。目的地まであと少しだと言い張ったリーダーのせいで、私たちは見知らぬ路地を三回も往復した。でも、そのおかげで誰も知らない静かな角にある、古びた小さな店を見つけた。効率的に動くことなんて、この旅では一番価値のないことかもしれない。
日の出を見るという壮大な計画を立てたはずなのに、気づけば全員が泥のように深く眠っていた。正午近くに起きて、お互いのひどい寝顔を撮り合って爆笑する。予定を全部すっぽかした罪悪感よりも、清潔なシーツに包まれてこのままベッドから出たくないという心地よさが、完全に勝った瞬間だった。
花蓮海悅酒店のバルコニーに出ると、太平洋の深い青が視界のすべてを塗りつぶす。波の音が、重い振動となって足の裏まで伝わってくる。海と空の境界線が、冬の霧に溶けて曖昧になっている。その不確かな景色を眺めていると、心の中のざわつきが、静かに凪いでいくのがわかった。
裸足で踏んだホテルの床は、ひんやりとしていて心地いい。簡約な客室の中、地元産の石材を使った壁のざらついた質感と、手作りの木製家具の温もりが同居している。部屋の隅で小さく反響する自分たちの笑い声が、この空間にちょうどいい密度で満ちていく。贅沢というよりは、深い安心感に近い感覚だ。
ルーフトップバーのグラスに、小さな水滴がついていた。結露がゆっくりと滴り落ちる様子を眺めながら、私たちはとりとめもない話を続けた。おまけに提供された小美アイスクリームの冷たさが、夜風に吹かれた体に心地よく染み渡る。氷がカランと鳴る音が、心地よいリズムを刻んでいた。
帰り道、冷たい空気を深く吸い込む。完璧な旅ではなかったけれど、だからこそ記憶に深く刻まれる。お互いの欠点を笑い合い、迷い、眠りすぎた時間。そういう不格好な断片が集まって、一つの心地よい周波数になる。またこのメンバーで、わざと道に迷いに行きたいと思った。
潮風に吹かれながら、私たちはまた次のくだらない賭けを始めた。
- 太平洋の絶景を独り占めできるバルコニーで、ただぼーっとする時間を過ごしてほしい
- 市街地まで5分という近さを利用して、あえて計画なしに街を散策してほしい