← 戻る 花蓮藍天麗池飯店

絡まった指先と、木の香り

絡まった指先と、木の香り

「ここは、森の中の秘密基地?」

2月の花蓮は、空気がしっとりと重く、街全体が深い霧に包まれているかのようだった。外に出ると、雨に濡れた岩肌から立ち上る鉱物のような鋭い匂いが鼻をくすぐり、肌に触れる風は冬の終わりの冷たさを帯びている。そんな中、花蓮藍天麗池飯店に足を踏み入れた瞬間、世界の色と温度がふわりと変わった。子供たちの感覚は、大人よりもずっと鋭く、純粋だ。チェックインを待つロビーで、次男が不意に私の裾をぎゅっと引っ張り、「ねえ、ここ、森の匂いがするよ」と小さな声で囁いた。大人にとっての「洗練されたアロマ」は、彼にとっての「秘密基地の匂い」なのだろう。ロビーに漂う淹れたてのコーヒーの香りと、柔らかな間接照明が、旅の緊張をゆっくりと解きほぐしていく。磨き上げられた大理石の床を、長男が小さなスニーカーでタタタと軽快に駆け抜けていく。その足音が、静謐な空間に心地よいリズムを刻んでいた。私は彼を追いかけるよりも先に、深く息を吸い込んだ。そこに漂っていたのは、東海岸の山々が深く呼吸しているような、懐かしく温かい木の香り。この場所が持つ静けさは、単なる静寂ではなく、外の世界の喧騒を丁寧に濾過したあとの、純度の高い安らぎなのだと感じた。私は旅のリーダーとして彼らを導いているつもりだったが、実際にはこの小さな探索者たちに導かれ、この空間の本当の楽しみ方を教わっているのかもしれない。

小さな指先が見つけた「魔法の紙」

部屋に入ると、そこには「練習餘裕・香氛小日子」のプランで用意された立霧香氛の小さなボトルがあった。次男がそれを宝物のように大切に握りしめている。彼が惹かれたのは香りよりも、ボトルを包む手漉き紙の独特な質感だったようだ。指先でゆっくりとなぞると、少しざらついていて、不揃いな縁がある。それは完璧に整えられた工業製品にはない、誰かの手の温もりが残っているような、有機的な手触り。彼にとって、この紙はきっと未知の国へ導く魔法の地図か、あるいは秘密の暗号に見えたのだろう。

「見て!紙がボコボコしてるよ!」とはしゃぐ彼を横目に、私たちは限定の金沙芋泥可頌を口に運んだ。サクッという小気味いい音とともに、バターの濃厚な香りと、芋泥のしっとりとした甘さが口いっぱいに広がる。さらに、部屋に用意されていたNintendo Switchを見つけた長男の歓声が上がり、洗練された客室は一気に賑やかなゲームセンターへと変貌した。頬に紫色の芋泥をつけたまま、真剣な表情でコントローラーを握る長男と、絨毯に可頌の破片を宝石のように散りばめる次男。ベッドの真っ白なリネンにダイブし、雲の上にいるようだとはしゃぐ彼らの笑い声が、部屋いっぱいに弾けていた。優雅なティータイムなんて程遠いけれど、そのめちゃくちゃな光景こそが、今の私たちにとって一番心地よい景色だった。

彼らは部屋の中を冒険し、ベッドの跳ね返りに歓喜し、バスルームのタイルの冷たさに驚く。大人なら見過ごしてしまうような、些細な凹凸や音のひとつひとつが、彼らにとっては世界を構成する重要な情報なのだ。手漉き紙の不揃いな繊維が香りを抱きしめているように、この旅の不完全な瞬間ひとつひとつが、私たちの記憶に深く染み込んでいく。完璧なスケジュールをこなすことよりも、こうして子供たちが何に心を奪われるかを観察している時間の方が、ずっと贅沢な気がしてならない。

嵐が去ったあとの、深い静寂

子供たちが、深い眠りに落ちた。さっきまで戦場のように騒がしかった部屋が、嘘のように静まり返る。長男の寝息は少しだけ騒がしく、次男は私の腕をぎゅっと掴んだまま、心地よさそうに口を開けている。布団を通じてじわりと伝わってくる彼らの体温。この心地よい重みこそが、私がこの世界で最も信頼できる重力なのだと感じる。

一人になった時間、私はゆっくりと立霧の香水を手首にひと吹きした。先ほどまで子供たちが追いかけていた「森の匂い」が、今度は静かに、私の意識を内側へと向かわせる。冷たい窓ガラスに額を寄せると、遠くの街灯が滲んで見える。窓の外には花蓮の夜景が宝石のように散らばっているが、今はそれを見るよりも、この部屋に満ちた静寂の質感に浸っていたい。温かいお茶の湯気が、ゆっくりと視界を白く染めていく。

ふと思う。私たちはいつも、何かを「解決」しようとして旅に出る。疲れを癒やしたいとか、絆を深めたいとか。けれど、本当に必要なのは、解決することではなく、ただ今の状態をそのまま受け入れることではないだろうか。子供たちのわがままも、予定通りにいかない焦りも、すべてはこの旅という大きな織物の一部なのだ。手漉き紙のざらつきが心地よいように、人生の不自由さや不器用さも、視点を少しずらせば、愛おしい質感に変わる。

温かいお茶を一口飲み、私はもう一度、隣で眠る子供たちの顔を見た。彼らが明日、またどんな「発見」をして私を驚かせてくれるのか。その不確実さが、今はたまらなく愛しい。この部屋の静けさは、明日また始まる賑やかな混沌のための、大切な空白なのだと思う。

明日もきっと、誰かが可頌をこぼして笑い合うのだろう。

  • 豊富なヴィーガンメニューが楽しめる朝食で、子供と一緒に今日の「冒険」を計画してみてください。
  • 家族旅行に嬉しい無料のランドリーサービスを利用して、身軽に花蓮の街を散策しましょう。

近くのグルメ・スポット

来成排骨麺

來成排骨麺は花蓮市中正路にある1948年創業の老舗小吃店で、独特の排骨酥(リブスーの唐揚げ蒸し)とコラーゲンたっぷりの豚足が看板です。排骨酥は揚げてから蒸すことで外はカリッとし、甘辛クリアなスープと合わさり、豚足はプリプリとした弾力ある食感。この二品を合わせた組み合わせは、地元の食通や観光客が必ず頼む定番メニューです。店内では内用席とチャイルドシートを用意。2025年に移転して駐車が便利になり、家族や友人との会食に最適です。

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公正包子

公正包子は花蓮市の老舗小吃店で、厚めの甘みある皮が特徴の小籠包で有名です。1個約5台湾ドルで、手作り調味の豚肉餡を包み、パンチが欲しい方は自家製唐辛子ソースを。小籠包以外にも蒸餃、湯包、肉羹麺、酸辣麺、貢丸湯、アイス豆乳、紅茶を取り揃え。2023年末に仁愛街と成功街の角へ移転し、人気の「廟口紅茶」の向かいに。小さな店構えですが地元民と観光客の長蛇の列が絶えず、花蓮に来たら外せない必食スポットです。

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公正街包子店

公正街包子店は花蓮市街の40年以上続く老舗小吃で、厚皮の小籠包と蒸餃が看板です。生地は手で延ばして柔らかくモチモチ、ほんのり甘く、シンプルな味付けの肉汁あふれる豚餡を包みます。蒸餃、湯餃、肉羹麺、酸辣麺、貢丸湯、アイス豆乳、紅茶なども提供。2023年末の移転後も人気は健在で、行列は減りましたが花蓮の必食小吃として外せません。価格も手頃で、小籠包は1個約5〜7台湾ドル、気軽に食べられる手軽さが魅力です。

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周家蒸餃

周家蒸餃小籠包は花蓮市の公正街にある老舗で、50年近くにわたりその場で包んで蒸す蒸餃と小籠包が看板です。3種類の蒸餃、手作り小籠包、酸辣湯、肉羹湯、ルーロー飯など多彩なメニューを取り揃え、24時間営業。朝食、ランチ、ディナー、夜食とどんな時間でも利用できます。蒸餃は10個で約30台湾ドル、小籠包は10個で約40台湾ドルと手頃で味も鮮やか。長蛇の列が日常で、地元民と観光客双方の必訪グルメスポットです。

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