← 戻る 花蓮阿思瑪麗景大飯店

パジャマのまま、大きな窓の前に並んだ朝

パジャマのまま、大きな窓の前に並んだ朝

喧騒さえも愛おしくなる、家族に「余白」をくれる場所とは?

エレベーターの冷たい金属ボタンに、子供の指先のベタつきが残っている。そんな小さな違和感から、この旅は始まった気がする。ロビーに足を踏み入れた瞬間、天井から降り注ぐクリスタルのシャンデリアが、まるで凍らせた雨粒のように瞬き、空間全体を淡い黄金色に染めていた。外の湿った熱気を忘れさせる、ひんやりとした空気と、どこか懐かしいリリーの花のような香りが鼻をくすぐる。私の隣では上の子が「お腹すいた」と何度も言い、下の子は深い絨毯に吸い込まれそうなほど足を踏み入れている。そんな「兵慌馬乱」な私たちの空気さえも、阿思瑪麗景大飯店という場所は、深い懐で優しく包み込んでくれた。

私たちが求めていたのは、単なる豪華さではなく、心から呼吸ができる「物理的な余白」だった。クラシック四人部屋のドアを開けたとき、目に飛び込んできたのは、真っ白なリネンがピンと張った大きなベッドが二つ、ゆったりと並ぶ光景だ。肌に触れるシーツのひんやりとした感触が、旅の緊張をゆっくりと解いていく。夜、子供たちがベッドの真ん中で大の字になり、私たちはその端っこで、お互いの肩が触れ合う距離で眠った。誰かが寝返りを打つたびに、布団が穏やかな波のように揺れる。その不自由さが、不思議と心地よい安心感に変わった。「ここにいれば、もう何も心配しなくていい」という静かな確信。バスルームのタイルの温度が裸足の裏に心地よく伝わり、ここが単なる宿泊先ではなく、旅先の一時的な「家」になったことを教えてくれた。

子供たちの瞳を輝かせた、秘密の遊び場はどこにあった?

大人がホテルの格調高い雰囲気に浸っている間に、子供たちは彼らだけの「正解」を見つけていた。それは、館内にあるキッズルームという名の魔法の空間だ。色鮮やかなボールプールに飛び込んだ瞬間の「ザザッ」という心地よい音、滑り台を滑り降りる時の風を切る感覚。特に彼らが夢中になったのは、小さなキッチンセットだった。「今日は私がシェフね!」と宣言し、おもちゃの食材を並べる上の子の横で、下の子が一生懸命に手伝う。その光景を眺めながら、私はふと思った。大人が設計した「贅沢」よりも、子供たちが自ら見つけた「遊び」こそが、彼らにとっての最高の贅沢なのだと。

さらに彼らを虜にしたのは、無料で提供されるアフタヌーンティーの時間だった。ロビーに漂う、焼きたてのケーキの甘い香りと、ポップコーンの香ばしい匂い。色とりどりのアイスクリームを頬張り、口の周りをベタベタにしながら笑い合う子供たちの姿は、まるで春の陽だまりに集まる小鳥のようだった。洗練された静寂が求められる場所で、子供たちが子供らしく、全力で笑い、騒げる隙間があること。スタッフの方々がそれを否定せず、ただ温かい微笑みで受け流してくれる距離感に、親としての肩の力がふっと抜けた。完璧な礼儀作法よりも、そんな寛容さこそが、家族にとっての最高の居心地を生むのだと感じた。

旅が終わるとき、心に何が残っているだろうか?

チェックアウトの朝、私たちはパジャマのまま、高層階の窓辺に並んで外を眺めた。西側には中央山脈が、深い青い霧を纏ってどっしりと構え、東側には太平洋が、3月の光を受けて翠色から深い紺色へと移ろうグラデーションを描いている。海の色が、誰かが海底で照明を付け替えたみたいに、刻一刻と表情を変えていく。子供たちは窓ガラスに額を押し付け、「あそこに大きな船がいる!」とはしゃいでいた。その小さな背中を見ながら、私はこの旅の正体について考えていた。計画通りに進まなかったこと、忘れ物をして慌てたこと、子供たちが騒ぎすぎて気まずかった瞬間。そういう「ノイズ」こそが、後になって一番鮮やかに思い出す記憶になる。

朝食でいただいた温かい牛肉スープが、喉を通って胃の奥までじんわりと温めてくれる。その温度感と、窓から差し込む春の柔らかな光。山と海の間に挟まれたこの街で、私たちはただ一緒にいた。それだけで十分だったのだ。阿思瑪麗景大飯店で過ごした時間は、家族という不器用な集団が、互いのリズムを合わせ直すための大切な調律の時間だったのかもしれない。日常に戻ればまた慌ただしい日々が始まるけれど、この静かな充足感だけは、大切に持ち帰りたいと思った。

靴を履くとき、子供が私の指をぎゅっと握った。その手の温かさが、旅の終わりの合図だった。

  • 3月の花蓮は海の色が最も美しく移ろう季節です。早起きして高層階の窓から、山と海の両方を眺める時間をぜひ大切にしてください。
  • 無料のアフタヌーンティーで提供されるポップコーンやアイスクリームは、子供たちへの最高のご褒美になります。

近くのグルメ・スポット

来成排骨麺

來成排骨麺は花蓮市中正路にある1948年創業の老舗小吃店で、独特の排骨酥(リブスーの唐揚げ蒸し)とコラーゲンたっぷりの豚足が看板です。排骨酥は揚げてから蒸すことで外はカリッとし、甘辛クリアなスープと合わさり、豚足はプリプリとした弾力ある食感。この二品を合わせた組み合わせは、地元の食通や観光客が必ず頼む定番メニューです。店内では内用席とチャイルドシートを用意。2025年に移転して駐車が便利になり、家族や友人との会食に最適です。

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公正包子

公正包子は花蓮市の老舗小吃店で、厚めの甘みある皮が特徴の小籠包で有名です。1個約5台湾ドルで、手作り調味の豚肉餡を包み、パンチが欲しい方は自家製唐辛子ソースを。小籠包以外にも蒸餃、湯包、肉羹麺、酸辣麺、貢丸湯、アイス豆乳、紅茶を取り揃え。2023年末に仁愛街と成功街の角へ移転し、人気の「廟口紅茶」の向かいに。小さな店構えですが地元民と観光客の長蛇の列が絶えず、花蓮に来たら外せない必食スポットです。

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公正街包子店

公正街包子店は花蓮市街の40年以上続く老舗小吃で、厚皮の小籠包と蒸餃が看板です。生地は手で延ばして柔らかくモチモチ、ほんのり甘く、シンプルな味付けの肉汁あふれる豚餡を包みます。蒸餃、湯餃、肉羹麺、酸辣麺、貢丸湯、アイス豆乳、紅茶なども提供。2023年末の移転後も人気は健在で、行列は減りましたが花蓮の必食小吃として外せません。価格も手頃で、小籠包は1個約5〜7台湾ドル、気軽に食べられる手軽さが魅力です。

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周家蒸餃

周家蒸餃小籠包は花蓮市の公正街にある老舗で、50年近くにわたりその場で包んで蒸す蒸餃と小籠包が看板です。3種類の蒸餃、手作り小籠包、酸辣湯、肉羹湯、ルーロー飯など多彩なメニューを取り揃え、24時間営業。朝食、ランチ、ディナー、夜食とどんな時間でも利用できます。蒸餃は10個で約30台湾ドル、小籠包は10個で約40台湾ドルと手頃で味も鮮やか。長蛇の列が日常で、地元民と観光客双方の必訪グルメスポットです。

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