← 戻る 松風文旅

濡れたタオルの匂いと、小さな手のひらの温度

輪っかになった荷物と、制御不能な笑い声

濡れたアスファルトの匂いが鼻をくすぐり、スーツケースの車輪が路面のわずかな段差を乗り越えるたびに、手に鈍い振動が伝わってくる。11月の宜蘭は、空気がしっとりと重く、肌に触れる風が少しだけ冷たい。松風文旅のロビーに足を踏み入れた瞬間、それまで保っていた大人の静寂はあっけなく崩れ去った。上の子がロビーの開放感に興奮して駆け出し、下の子がそれを追いかけて、私の手から持っていたガイドブックがひらひらと舞い落ちる。「あーっ、もう!」と口では言いながらも、心の中ではこの賑やかさが心地よかった。チェックインの手続きを待つ間、子供たちの笑い声がロビーの壁に当たって跳ね返り、心地よい残響となって空間を満たしていく。段ボールの構造を意識したという壁の質感が、騒がしさを優しく吸収し、尖った感情の角を丸くしてくれる。足元に積み上がった荷物はまるで小さな砦のようで、その周囲を子供たちが円を描くように走り回る。そんな「チーム作戦」のような混乱さえも、旅という名の心地よいリズムの一部に変わっていく感覚があった。

予想外の頂上と、小さな冒険者の呼吸

私たちは、あらかじめ綿密に練っていた観光ルートを半分もこなさずに、ホテルの施設という名の迷宮に心を奪われた。特に子供たちの楽園である遊び場に入ったとき、上の子はまるで未知の惑星に降り立った探検家のような顔をしていた。クライミングウォールのゴツゴツとした岩のような感触に指をかけ、必死に上へと登っていく。そのとき聞こえてきたのは、小さな胸が激しく上下する、一生懸命な呼吸の音だった。「見てて!僕、あそこまで行けるよ!」という誇らしげな叫びが、高い天井に反響して、まるで小さなコンサートホールのようだった。下の子は室内にある滑草エリアで、何度も何度も滑り降りては歓声を上げている。ふと気づくと、親である私たちも、効率的に観光地を巡るという強迫観念を完全に忘れていた。10分車を走らせれば羅東夜市に行けるという便利さはあるけれど、今はただ、この場所で子供たちが自分の限界に挑戦し、それを笑い合う時間を大切にしたくなった。屋上のプールに上がったとき、11月の冷たい風が頬を打ったけれど、水に浸かった瞬間に体温がじわりと広がり、視界が鮮やかに開ける。遠くに見える山々の稜線が、淡いグレーの空に溶け込んでいた。子供たちが水しぶきを上げてはしゃぐたび、水面が光を反射して、キラキラとした音が聞こえてきそうなほど眩しかった。

呼吸が重なる時間と、深い紺色の静寂

夜の11時。嵐のような一日が終わり、ようやく訪れた静寂。子供たちは、驚くほど深い眠りに落ちていた。ベッドのシーツの、パリッとした清潔な感触と、適度な重みの掛け布団。その間に挟まって、規則正しく聞こえる子供たちの寝息を聴いていると、昼間のあの騒がしさが、遠い記憶の残響のように心地よく感じられた。私はゆっくりとベッドから抜け出し、バスルームへ向かう。裸足で踏んだタイルの温度は、ひんやりとしていて、火照った足裏を心地よく冷やしてくれた。シャワーから出るお湯の温度がちょうどよく、肩の力がゆっくりと抜けていく。窓の外に広がる宜蘭の夜景は、深い紺色に染まり、時折遠くで車の走行音がかすかに聞こえる。その音さえも、この部屋の静けさを強調するための演出のように感じられた。上の子が寝言で何かを呟き、下の子が無意識に私の指を握りしめる。その小さな手のひらの温度を感じながら、私は思う。旅における本当の贅沢とは、豪華な設備のことではなく、こうした「何もしなくていい時間」を、大切な人と同じ空間で共有できることなのだろうと。孤独という臓器を抱えて生きている私たちにとって、誰かの体温が隣にあるという事実は、どんな音楽よりも安心させる周波数だった。

閉まるジッパーの音と、また会おうという約束

チェックアウトの朝、スーツケースのジッパーを閉める「ジジジ」という音が、旅の終わりを告げる合図のように響いた。子供たちは、もう一度だけプールの景色を見たいと、あるいはあのクライミングウォールに挑戦したいと、名残惜しそうにロビーを振り返っていた。上の子が「またここに来たい」と小さく呟いたとき、その声には、この場所で得た自信のようなものが混じっていた。私たちは、予定していた観光地の半分も回らなかったかもしれない。けれど、子供たちの目が輝き、大人が心からリラックスできたこの時間は、どんなガイドブックに載っている名所よりも価値があった。ホテルのスタッフが向けてくれた、温かみのある微笑み。それが、この旅の最後の、そして最高の残響となった。車に乗り込み、バックミラーで小さくなっていく松風文旅の姿を見ながら、私たちは次の「混沌とした旅」の計画を、密かに立て始めていた。

  • 羅東夜市へは車で10分ほど。地元の活気ある音と匂いに触れた後、ホテルの静寂に戻るコントラストを楽しんでください。
  • 屋上プールでの夜景鑑賞は必須。11月の澄んだ空気の中で見る蘭陽平原の灯りは、心に静かな余白をくれます。

近くのグルメ・スポット

OX炙りステーキ宜蘭員山店

OX 亞克斯炙燒牛排 宜蘭員山店は員山郷員山路一段202号、員山農會のすぐそばにあります。インダストリアル風インテリアにブルースとジャズを流すリラックスムードで、壁には重機用ヘルメットが並びます。ビュッフェとステーキがメインで、ビュッフェのみ109元でサラダ・温菜・焼きパン・アイスが食べ放題。ステーキは309元からでビュッフェ付き。おでん、茶碗蒸し、麻辣鴨血臭豆腐、チョコレートファウンテン、コーンスープなど多彩な料理を取り揃え、サービス料なし。家族や友人との会食に最適です。

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北門緑豆アイス

北門綠豆沙牛乳大王は宜蘭県の老舗ドリンク店で、40年以上の歴史があります。注文を受けてから手作りする緑豆沙牛乳、パパイヤ牛乳、芋沙氷が人気で、濃厚で滑らかな口当たりに行列が絶えません。看板メニューのほか、新しくなった店舗では季節限定ドリンクも登場。宜蘭観光で外せない地元グルメ体験です。

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北門ニンニク肉あんかけ

北門蒜味肉羹は宜蘭県北門エリアの地元小吃で、60年以上の歴史があり、ニンニクの香り豊かな肉羹スープが看板です。豚の肩肉を使った肉羹は滑らかで、ニンニクペースト、筍切り、野菜と組み合わせます。肉羹麺、肉羹粿仔、肉羹米粉、ご飯などがあり、価格は約55元。手頃な銭貨小吃で並ぶことも多く、宜蘭で外せないクラシックな一杯です。

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城隍廟口切り麺店

城隍廟口切仔麺店は宜蘭市城隍街27号にある、地元民おすすめの穴場朝食スポットです。看板なしの質素な外観で、昔ながらの乾麺、スープ麺、粿仔、米粉を提供。手作り魚丸と肝連、豚の肺、嘴邊肉などの小皿が合わせられ、価格も手頃です。営業時間は午前6時〜11時(一部12時まで)で、行列が多いのが特徴。車で来て中山路や城隍廟停留所付近に路上駐車するのがおすすめ。店内はシンプルで夏期は冷房なし、宜蘭の伝統的な朝食を味わいたい旅行者にぴったりです。

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