← 戻る 雀客嗨夫旅館

濡れた靴下と、お風呂の湯気のこと

濡れた靴下と、お風呂の湯気のこと

裸足で踏みしめたフローリングの、しっとりとひんやりした感触。子供たちが部屋に飛び込んだ瞬間、雀客嗨夫旅館の洗練された工業的なグレーの空間は、一気に賑やかな遊び場へと塗り替えられた。上の子が「ここ、秘密基地みたい!」とはしゃいで走り回り、下の子はその背中を追いかけて短い足で必死に駆け抜ける。モダンなインテリアが整えられたはずの部屋が、あっという間に脱ぎ捨てられた靴下と、正体不明のおもちゃで埋め尽くされていく。けれど、その心地よい乱雑さが、旅の緊張をほどいてくれる不思議な安心感に変わっていった。


湯船に身を沈めたとき、ふっと肩の力が抜けていくのがわかった。ロクシタンの芳醇な香りが、白い湯気と共に鼻先をかすめ、心まで解きほぐしていく。外の空気は二月の宜蘭らしく、湿り気を帯びた冷たさが肌を刺すが、ここにあるお湯の温度だけは、完璧な心地よさだった。リビングエリアから聞こえてくる、子供たちの言い争う小さな声。親である前に、ただの一人の人間として、静寂に身を浸す贅沢な時間。この数分間だけは、誰の「お父さん」や「お母さん」でもなく、ただ自分自身に戻れる気がした。
トイレに近づくと、センサーが鋭く反応して蓋がスッと持ち上がった。ピピピッ、という無機質な電子音が静かな部屋に響き渡る。下の子がそれを凝視して「魔法のトイレだ!」と大興奮。大人は単なる「便利さ」として受け流す機能が、子供にとっては未知のテクノロジーとの遭遇になる。その純粋な驚きを眺めていると、大人になる過程でどこかに置き忘れてしまった「世界への好奇心」を、彼らが代わりに持ち続けてくれているようで、胸の奥がじんわりと温かくなった。
羅東夜市で買い込んできた、揚げたての小吃をテーブルいっぱいに広げる。紙袋から漏れ出す香ばしい油の匂いと、食欲をそそる甘いタレの香り。リビングの小さなソファに家族で身を寄せ合い、「これが一番美味しい!」と誰がどの味を気に入ったか言い合う。口の周りをソースで汚した子供たちの顔を拭きながら、私たちは「次はあのお店に行こうか」と、小さな冒険の計画を立てる。豪華なディナーではないけれど、この雑多で賑やかな食卓こそが、旅の本当の味わいなのだと感じた。
午前六時の光は、透き通るような淡い青色をしていた。窓の外に広がる宜蘭の景色は、雨上がりの深い霧に包まれ、街の輪郭がぼんやりと溶け込んでいる。駅まで歩いてわずか二分という近さは、旅の終わりを穏やかにしてくれる。冷たく澄んだ空気が肺の奥まで入り込み、意識がゆっくりと覚醒していく。駅へと向かう道すがら、子供たちが水たまりを避けて軽やかに跳ねる様子を眺めていた。日常なら「服が汚れる」と止めてしまうけれど、ここではその汚れさえも、かけがえのない旅の記録になる気がした。
足元に広がるハニカム模様のタイル。その幾何学的な模様を、裸足でゆっくりとなぞってみる。冷たいはずの石の感触が、どこか懐かしく心地いい。工業的なデザインの中に潜む、こうした小さな遊び心。子供たちがタイルの数を数え始め、いつの間にか静かな競争が始まった。有名な観光地を巡ることよりも、こうした何気ないディテールに心を奪われる瞬間の方が、ずっと贅沢で豊かな時間のように思えた。
全員がベッドに潜り込み、部屋の灯りを消したとき。深い暗闇の中で、誰かの規則正しい寝息が聞こえ始める。賑やかだった一日の終わり。疲れ果てて、けれど心は満たされた状態で、私たちは互いの体温を感じながら横になる。完璧なスケジュールなんてなかったし、途中で喧嘩もしたけれど、それでも「また来たいね」と誰かが小さく呟いた。その言葉が、夜の静寂の中にゆっくりと溶けて、心地よい眠りへと誘っていく。

枕元に残された、片方だけの小さな靴下。

  • 羅東駅からの距離が非常に近いため、小さなお子様連れでも移動のストレスなくスムーズにチェックインできます。
  • 夜市で買った地元グルメを、お部屋のラウンジエリアで家族と一緒にゆっくり楽しむのがおすすめです。

近くのグルメ・スポット

OX炙りステーキ宜蘭員山店

OX 亞克斯炙燒牛排 宜蘭員山店は員山郷員山路一段202号、員山農會のすぐそばにあります。インダストリアル風インテリアにブルースとジャズを流すリラックスムードで、壁には重機用ヘルメットが並びます。ビュッフェとステーキがメインで、ビュッフェのみ109元でサラダ・温菜・焼きパン・アイスが食べ放題。ステーキは309元からでビュッフェ付き。おでん、茶碗蒸し、麻辣鴨血臭豆腐、チョコレートファウンテン、コーンスープなど多彩な料理を取り揃え、サービス料なし。家族や友人との会食に最適です。

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北門緑豆アイス

北門綠豆沙牛乳大王は宜蘭県の老舗ドリンク店で、40年以上の歴史があります。注文を受けてから手作りする緑豆沙牛乳、パパイヤ牛乳、芋沙氷が人気で、濃厚で滑らかな口当たりに行列が絶えません。看板メニューのほか、新しくなった店舗では季節限定ドリンクも登場。宜蘭観光で外せない地元グルメ体験です。

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北門ニンニク肉あんかけ

北門蒜味肉羹は宜蘭県北門エリアの地元小吃で、60年以上の歴史があり、ニンニクの香り豊かな肉羹スープが看板です。豚の肩肉を使った肉羹は滑らかで、ニンニクペースト、筍切り、野菜と組み合わせます。肉羹麺、肉羹粿仔、肉羹米粉、ご飯などがあり、価格は約55元。手頃な銭貨小吃で並ぶことも多く、宜蘭で外せないクラシックな一杯です。

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城隍廟口切り麺店

城隍廟口切仔麺店は宜蘭市城隍街27号にある、地元民おすすめの穴場朝食スポットです。看板なしの質素な外観で、昔ながらの乾麺、スープ麺、粿仔、米粉を提供。手作り魚丸と肝連、豚の肺、嘴邊肉などの小皿が合わせられ、価格も手頃です。営業時間は午前6時〜11時(一部12時まで)で、行列が多いのが特徴。車で来て中山路や城隍廟停留所付近に路上駐車するのがおすすめ。店内はシンプルで夏期は冷房なし、宜蘭の伝統的な朝食を味わいたい旅行者にぴったりです。

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