← 戻る 礁溪麒麟酒店

午前2時、ソーダの缶が開く音だけが響いた

午前2時、ソーダの缶が開く音だけが響いた

誰が一番「夏に負けたか」を競う、熱帯の真夜中

肌に張り付くシャツの不快感。湿度七十六パーセントの夜は、呼吸をするたびに肺に湿った綿を詰め込まれているような錯覚に陥る。私たちは礁溪麒麟酒店のロビーを出た瞬間、壁のように押し寄せてきた熱気に絶句した。誰からともなく、「誰が一番夏に負けているか」という、どうでもいい賭けが始まった。負けた方がコンビニまでの往復で一番荷物を持つというルールだ。礁溪の街に漂う、あの独特な硫黄の匂いが夜風に混じって鼻をくすぐる。街灯が等間隔に並ぶ道を歩きながら、私たちは互いの顔がどれだけ汗でテカテカしているかを観察し、あきれ果てた顔で笑い合った。結局、全員が等しく夏に完敗していたけれど、そんなことはどうでもよくなるほど、コンビニの自動ドアが開いた瞬間の冷気に、私たちは同時に「救われた」という顔をした。プラスチックの袋がカサカサと鳴る音が、夜の静寂に心地よく響いていた。

迷い込んだ路地と、冷えたソーダが溶かす本音

「ねえ、信じられないだろうけど、さっきのルート、完全に同じところを三回回ってたよね」

キンキンに冷えたソーダの缶を火照った頬に当てながら、友人が呆れたように言った。私たちは礁溪麒麟酒店の部屋にある、ゆったりとした貴妃椅に崩れるように身を投げ出していた。この四方の壁に囲まれた空間だけが、外の狂ったような暑さを遮断してくれる聖域だ。冷房が設定温度まで下がり、肌に心地よい冷気が触れる。私たちはコンビニで買い込んだ地元のお菓子や飲み物を、テーブルいっぱいに広げた。

「いいじゃん。それが『冒険』ってやつでしょ。地図なんて飾りだよ」

「言い訳がすぎる。結果的に、私たちは一番近いコンビニに辿り着いただけなんだから」

笑いながら、塩気の強いスナック菓子を口に放り込む。口の中の塩分と、喉を突き抜ける冷たい飲み物のコントラストが、疲労しきった体に染み渡る。ふと、窓の外に目を向けた。暗闇に包まれた蘭陽平原がどこまでも広がっていて、遠くに街の灯りが宝石のように点在している。この密閉されたカプセルのような部屋から外を眺めていると、自分たちが世界の中心にいるような、あるいは世界から切り離された小さな島に漂着したような、不思議な感覚に陥る。

「でもさ、こうしてくだらないことで言い合ってる時間、意外と悪くないかも」

「まあね。次はちゃんと地図が読めるやつがリーダーをやってよ」

誰がリーダーになっても、どうせまた迷うだろう。でも、それでいい気がした。正解に辿り着くことよりも、迷っている最中の、このとりとめもない会話の方がずっと価値がある。私たちは互いの失敗を肴にして、深夜二時まで笑い続けた。

喧騒が凪いだ後の、贅沢な空白

最後の一片のお菓子が消え、飲みかけのボトルがテーブルに残された。賑やかだった会話が、いつの間にか途切れている。部屋の中には、エアコンの低いハム音が一定のリズムで流れ、それがかえって静寂を際立たせていた。先ほどまで浸かっていた温泉の余熱が、心地よい疲労感となって体の芯からゆっくりと広がっていく。ふわりと漂う、浴槽の木杓子が持っていた淡い木の香りが、心を凪の状態へと導いてくれた。孤独というのは、必ずしも寂しいことではない。むしろ、誰かと一緒にいながら、それぞれが自分の思考に深く潜れるこの時間は、大人の贅沢な孤独という気がする。外ではまだ、夏の湿った風が街を撫でているだろうけれど、この真空地帯の中では、時間はゆっくりと、淀みなく流れていた。誰かが小さくあくびをし、シーツが擦れる音が聞こえる。言葉にしなくても、今のこの温度と静けさが正解なのだと、全員が理解していた。もしかすると、私たちはこの旅で、一番欲しかったのは「何もしないで、ただ一緒に静かになれる時間」だったのかもしれない。窓の外の闇が、少しずつ、深い青色に溶け始めていた。

冷たいシーツに足先を滑り込ませたとき、ようやく心地よい眠りが降りてきた。

  • 礁溪のコンビニで買える、地元産のパイナップル系ドリンク。冷やして飲むと最高。
  • 宜蘭の特産である三星葱を使ったスナック菓子。塩気が心地よく、深夜の会話に合う。

近くのグルメ・スポット

OX炙りステーキ宜蘭員山店

OX 亞克斯炙燒牛排 宜蘭員山店は員山郷員山路一段202号、員山農會のすぐそばにあります。インダストリアル風インテリアにブルースとジャズを流すリラックスムードで、壁には重機用ヘルメットが並びます。ビュッフェとステーキがメインで、ビュッフェのみ109元でサラダ・温菜・焼きパン・アイスが食べ放題。ステーキは309元からでビュッフェ付き。おでん、茶碗蒸し、麻辣鴨血臭豆腐、チョコレートファウンテン、コーンスープなど多彩な料理を取り揃え、サービス料なし。家族や友人との会食に最適です。

62

北門緑豆アイス

北門綠豆沙牛乳大王は宜蘭県の老舗ドリンク店で、40年以上の歴史があります。注文を受けてから手作りする緑豆沙牛乳、パパイヤ牛乳、芋沙氷が人気で、濃厚で滑らかな口当たりに行列が絶えません。看板メニューのほか、新しくなった店舗では季節限定ドリンクも登場。宜蘭観光で外せない地元グルメ体験です。

91

北門ニンニク肉あんかけ

北門蒜味肉羹は宜蘭県北門エリアの地元小吃で、60年以上の歴史があり、ニンニクの香り豊かな肉羹スープが看板です。豚の肩肉を使った肉羹は滑らかで、ニンニクペースト、筍切り、野菜と組み合わせます。肉羹麺、肉羹粿仔、肉羹米粉、ご飯などがあり、価格は約55元。手頃な銭貨小吃で並ぶことも多く、宜蘭で外せないクラシックな一杯です。

65

城隍廟口切り麺店

城隍廟口切仔麺店は宜蘭市城隍街27号にある、地元民おすすめの穴場朝食スポットです。看板なしの質素な外観で、昔ながらの乾麺、スープ麺、粿仔、米粉を提供。手作り魚丸と肝連、豚の肺、嘴邊肉などの小皿が合わせられ、価格も手頃です。営業時間は午前6時〜11時(一部12時まで)で、行列が多いのが特徴。車で来て中山路や城隍廟停留所付近に路上駐車するのがおすすめ。店内はシンプルで夏期は冷房なし、宜蘭の伝統的な朝食を味わいたい旅行者にぴったりです。

71