凍てつく風に背中を押されて、桃園の地へ
吐き出した息が白く濁り、目の前の視界をわずかに遮る。1月の桃園、高鐵駅に降り立った瞬間にぶつかってきたのは、容赦のない北東季風だった。肌を刺すような冷気はまるで目に見えない壁のように立ちはだかり、私たちは思わず身を縮める。首に巻いたウールのマフラーを、誰が一番深く顔に埋め込めるか。そんなくだらない賭けをしながら、私たちは冷え切ったコンクリートの上に立っていた。キャリーケースの車輪が地面を叩く、硬くて乾いた金属音がリズムを刻み、駅の喧騒に混じり合う。誰かが「この寒さ、本当に冗談でしょ」と笑いながら肩をすくめていたけれど、その声さえも凍りついて、すぐに冬の空気に吸い込まれていった。案内図を逆さまに持った友人が、自信満々に間違った方向へ歩き出し、それに気づいた私たちが一斉にツッコミを入れる。「こっちだってば!」という叫び声が、冷たい空気の中で心地よく弾けた。そんな、いつもの、けれど少しだけ心細い冬の旅の始まりだった。
ガラスの迷宮で、不意に触れた甘い体温
ホテルへ向かう道すがら、私たちは巨大なガラスの塊が連なる街並みを歩いた。冬の低い太陽がビルに反射し、プリズムのように光が屈折して、視界に鋭い白さが飛び込んでくる。風に煽られて歩幅が乱れるたび、隣にいる誰かの肩が触れ、その不自由さがかえって、互いの体温を強く意識させた。ふと立ち寄った『たままたま慢食堂』。そこで出会った冬季限定の草莓プリン聖代は、冷たいはずなのに、口の中でじわりと体温を思い出させてくれるような、濃厚で優しい甘さがあった。スプーンがガラスの器に当たる小さな音が、外の喧騒を遠ざけ、心地よい静寂を連れてくる。ある友人が「最高にエモい写真が撮れる」と意気込んでスマホを構えたけれど、寒さで指先がガタガタと震えていて、結果的に撮れたのはすべてブレブレの写真だった。その様子を見て、私たちは同時に吹き出した。完璧な旅なんて必要ない。むしろ、こういう、ちょっとした失敗や不器用な時間こそが、後で思い出したときに心の温度を上げてくれる記憶になる。鼻先が赤くなったまま笑い合ったあの空気感こそが、この旅の正体だったのかもしれない。
深海へと沈み込む、青い静寂の聖域
ようやく辿り着いたCOZZI Blu 和逸飯店 桃園館の扉を開けたとき、そこには外の灰色い世界とは全く違う、深い青の世界が広がっていた。ロビーを抜け、客室に入った瞬間、私たちは同時に「うわっ」と声を漏らした。そこは、まるで水深100メートルの深海に潜り込んだかのような、静謐な青に包まれた空間だった。洗練された海洋スタイルのインテリアが、旅の疲れを優しく包み込んでくれる。裸足で踏みしめたカーペットの厚みが、外の硬いアスファルトの記憶をゆっくりと消し去っていく。誰が一番先にベッドにダイブするかという不毛な競争が始まり、結果的に一番年上の友人が、一番大きな音を立ててマットレスに沈み込んだ。ベッドから窓まで、ゆっくり数えて十歩。その短い距離を歩くだけで、外界の騒音から完全に切り離された感覚になる。青い照明に照らされた部屋に身を委ねていると、時間の流れ方が変わった気がした。時計の針が進む音よりも、自分たちの深い呼吸の音が大きく聞こえる。外はまだ刺すような寒さだろうけれど、ここではその寒ささえも、この青い静寂を際立たせるためのスパイスに過ぎない。館内のバーやレストランで過ごす夜を想像しながら、私たちはただこの深い青に溶けていった。目を閉じても、まぶたの裏に鮮やかな青い残像が焼き付いていて、それが心地よい安心感となって身体に染み込んでいった。
窓の外に広がる夜景が、深い青に溶けてぼんやりと滲んでいた。
- 寒さに凍えた後は、たままたま慢食堂の温かい団子で心まで解きほぐして。
- 夜の華泰名品城を、あえて目的もなくただ彷徨い、冬の光を眺める時間を。