← 戻る 正一經典汽車商務旅館(二館)

靴底に残った白い砂と、誰のせいか分からない笑い声

靴底に残った白い砂と、誰のせいか分からない笑い声

湿り気を帯びた風と、誰が先に音を上げるかという賭け

台東の駅に降り立った瞬間、肌にまとわりつくような27度の湿気が、使い古したリネンのシャツをじっとりと濡らした。鉄路の錆びた匂いと、遠くで鳴る潮騒が混ざり合い、空気が重く、甘い。私たちは、この旅で誰が一番先に「暑すぎる」と音を上げるかという、くだらない賭けをしていた。「もう無理」と口にするのは誰か。先頭で地図を広げる友人の指先が湿気で滑り、最後尾を歩く者が重いスーツケースをアスファルトに転がすガタガタという音が、静かな街の静寂を鋭く切り裂いていく。
「ねえ、本当にこの道で合ってる?」
誰かの不安げな声が、ぬるい風に溶けて消える。私たちは目的地へ急ぐ理由なんて持っていなかったけれど、それでもなんとなく、心地よい焦燥感に突き動かされていた。まるで、この湿った空気そのものが、私たちをどこか未知の場所へ誘っているかのように。

街の輪郭が溶け出し、迷い込む贅沢に身を任せて

ホテルへ向かう道すがら、私たちはあえて地図を閉じ、迷路のように入り組んだ細い路地へと足を踏み入れた。白いインクが水に浸された紙の上でゆっくりと広がっていくように、私たちの境界線が、この街のゆるいリズムに溶け出していく感覚があった。ふと視界に入ったのは、地元の人だけが知っていそうな小さな豆腐店だった。店先に漂う大豆の香ばしい匂いが、空腹を静かに、けれど強烈に刺激する。
「見て、あそこの揚げ豆腐、すごく美味しそうじゃない?」
誘い込まれるように店に入り、名前も知らない揚げ豆腐を買い、口いっぱいに頬張った。外側のカリッとした快い音と、中の驚くほど柔らかな温度が喉を通るたびに、旅の緊張がふっとほどけていくのがわかった。結局、誰が道を間違えたのかという議論になったが、全員が迷っていたことに気づいたとき、私たちは同時に笑い出した。
「正解のルートなんて、最初からどうでもよかったね」
誰かが呟いたその言葉が、この旅の正解だったのかもしれない。迷うことこそが、この街の本当の楽しみ方なのだと、私たちは肌で感じていた。

正一經典汽車商務旅館(二館)、静寂の重さと肌に触れる温度

ようやく辿り着いた正一經典汽車商務旅館(二館)のドアが開いたとき、外の喧騒がふっと途切れた。レセプションのスタッフが向けてくれた柔らかな微笑みは、ちょうどいい温度の白湯のように、疲れた心を静かに温めてくれる。案内された部屋に入り、スーツケースを転がして壁に当たるまでわずか5秒。その距離感が、この空間が持つ贅沢な空白を物語っていた。床のタイルのひんやりとした感触が足裏から伝わり、エアコンの冷気が、火照ったうなじを優しく撫でる。

「見て、お風呂がめちゃくちゃ広い!」
一番に浴室へ駆け込んだ友人の叫び声が響く。浴槽に溜まったお湯に体を沈めると、皮膚の境界線が消え、自分がただの液体の塊になったような錯覚に陥った。お湯が温まるまでには少し時間がかかったが、その空白の時間に私たちは、今日見た空の色や、路地裏で出会った猫の話をとりとめもなく語り合った。
夜になると、窓の外には吸い込まれそうなほど深い紺色の空が広がっていた。9月の台東の夜は、誰かが丁寧に塗りつぶしたキャンバスのようで、そこに点在する星たちが、小さなノイズのように心地よく瞬いている。
翌朝の朝食ビュッフェでは、プレートが触れ合うカチャカチャという軽やかな音が心地よかった。焼きたての料理から立ち上る白い湯気が視界を染め、コーヒーの苦い香りが、まだ半分眠っている意識をゆっくりと呼び戻していく。誰が何を食べるか、誰が一番多く盛り付けるか。そんな些細なやり取りの中に、本当の意味での充足感が隠れている。チェックアウトのとき、スタッフがかけてくれた言葉が、旅の終わりの寂しさを、心地よい余韻へと書き換えてくれた気がした。

靴底にこびりついた白い砂を払いながら、私たちはまた次の迷路を探し始めた。

  • 9月の澄んだ夜空の下、ホテルから少し足を伸ばして星空を眺める時間を。
  • 朝食ビュッフェで、地元の味にゆっくりと時間をかけて向き合う贅沢を。

近くのグルメ・スポット

七里香焼きまんじゅう

台東市正気路385巷7号にある30年以上の歴史を持つ地元小吃の老舗。拳大の巨大な焼き小籠包が看板で、外はカリッと中はふんわり、具がたっぷり。自家製甘辛ダレが風味を引き立てます。併せて各種ルーウェイ(燻製煮込み)も提供し、価格は手頃で焼き小籠包は1個25元。正気路と南京路の交差点近くの路地にあり、イートインとテイクアウト両方に対応しています。

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南北餃子館

台東市和平街117号の40年以上続く老舗。薄皮で弾力のある巨大な蒸し餃子が看板で、具がたっぷりジューシー。水餃子、焼きそば、炒め物、家庭料理も揃います。注文は手書きメニュー、タレはセルフ、辛いもの好きには自家製剥皮辣椒(皮むき唐辛子)がおすすめ。2階建ての店内は常に満席に近く、ランチ11〜14時、ディナー17〜20時30分、平均予算約400元。

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カジエルカジキ特産グルメ

台東成功鎮大同路115号にある、地元の鬼頭刀(マハタに似た白身魚)をテーマにした創意小吃店。魯肉飯、蚵仔煎(カキ焼き)、魚羹、フライ、水餃子など台湾料理に鬼頭刀を取り入れた手頃で郷土色豊かなメニューを展開。店内は古い台湾と原住民の要素を組み合わせた活気ある雰囲気で、台湾魯肉飯フェスティバルの推薦やグルメ番組でも取り上げられ、成功鎮の必食スポットです。

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ガジュマル米苔目

台東市中華路一段にある50年以上の歴史を持つ老舗。米苔目(細い米麺)が看板で、自家製唐辛子、黄金キムチ、香ばしい鬼頭刀の唐揚げなど小菜が評判。店内は広く行列時も回転が速く、冷房はないもののスープは飲みやすく昔ながらの味。台東観光で外せない名物料理の一つです。

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