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濡れたタオルの匂いと、誰かの笑い声

濡れたタオルの匂いと、誰かの笑い声

ホテルのロビーに足を踏み入れた瞬間、外の刺すような風が嘘のように消えた。1月の台東は、太平洋から届く塩気を含んだ冷たい空気が肌を叩く。車から降りた子供たちは、寒さで少しだけ肩をすくめていたけれど、暖房の効いたエントランスに入った途端、解放されたみたいに声を上げ始めた。チェックインを待つ間、厚い絨毯に深く沈み込む靴音と、子供たちが興奮して跳ねる振動が足裏に伝わってくる。それは、旅という名の緊張が、温かい水に溶けていく塩のように、ゆっくりと輪郭を失っていく感覚だった。もともと家族旅行なんて、計画通りに行くはずがない。長男が忘れ物をし、次男が車の中で「温泉はどうやって作られるの?」と哲学的な問いを投げかけ、親はそれに答えられず困惑する。そんな、少しだけ不格好で、けれど愛おしい混沌をそのまま受け止めてくれる器のような場所。The GAYA Hotel のモダンな空間は、不思議とそういう「乱雑さ」を拒絶せず、むしろ心地よく包み込んでくれる気がした。

家族という不格好なパズルが、心地よくはまる場所とは?

それはきっと、一人ひとりが「自分のリズム」に戻れる絶妙な距離感があるからだと思う。客室のドアを開けると、まず目に飛び込んできたのは、想像以上にゆとりがある空間だった。子供たちがパジャマに着替えて、ベッドの上でダイブしても、誰の足にも当たらない。そんな単純なことが、親にとってはどれほどの救いになるか。足もとで感じるタイルのひんやりとした温度と、対照的にふかふかのベッドリネンに触れたときの、あの吸い込まれるような感覚。深夜3時にふと目が覚めて、隣で静かに寝息を立てる家族の気配を感じながら、部屋の隅にある静寂の重さを測ってみる。「ああ、今は誰にも邪魔されなくていいんだ」という心地よい孤独が、そこにはあった。ここでは、孤独は寂しさではなく、心地よい独立心として機能している。誰かと一緒にいるけれど、同時に自分だけの空白も持てる。そんな贅沢なバランスが、この場所にはある。家族という密接なユニットが、適度な隙間を持って呼吸できる。その余裕こそが、旅の疲れを、心地よい充足感へと書き換えてくれる魔法なのだろう。

子供たちの瞳に映った、世界で一番青い魔法は?

間違いなく、屋上のインフィニティプールだ。1月の空は、どこまでも高く、少しだけ白みがかった青色をしていた。子供たちは、水温がちょうどいいことに気づくと、もう誰一人として外に出ようとしなくなった。プールの縁に寄りかかって、遠くに見える太平洋と鯉魚山の稜線を眺めている次男が、「ねえ、あそこまで泳いで行けるかな?」と真剣な顔で聞いてきた。その小さな手のひらで、プールの青い水をすくい上げようとして、指の間からさらさらとこぼれ落ちる水滴。彼らにとって、ここはただのプールではなく、世界の端っこに触れられる魔法の場所だったのかもしれない。風が吹くたびに、肌に当る冷気と、身体を包む温かい水のコントラストが鮮明になる。大人は「風邪をひくから上がりなさい」と言いたくなるけれど、その瞬間、子供たちの瞳に映っている純粋な好奇心を邪魔したくなくて、結局あと10分だけ、と時間を延ばしてしまった。水面に反射する太陽の光が、子供たちの笑い声と一緒にキラキラと弾けていた。そんな、なんてことないけれど、一生忘れられないほど鮮やかな青色の記憶。それが、このホテルがくれた一番の贈り物だった気がする。

旅の終わり、心に深く刻まれる「時間の手触り」とは?

それは、完璧ではなかったけれど、だからこそ愛おしい「時間の手触り」だと思う。午後、ホテル内のレストランで提供される無料の点心をつまみながら、次男が口の周りをクリームだらけにして笑っていたこと。ホテルを出て、歩いて数分の鉄花村まで向かう道すがら、冬の柔らかな日差しの中で家族でとりとめもない話をしながら歩いたこと。正気路の夜市で食べた、あの少し不思議な味の塩味アイスクリームが、冷たい空気の中でゆっくりと溶けていったこと。豪華な設備や完璧なサービスよりも、そういう、指先に残る小さな感覚こそが、旅の正体なのだと思う。The GAYA Hotel で過ごした時間は、バラバラだった家族の周波数を、ゆっくりと一つの心地よい和音に調律してくれるプロセスだった。チェックアウトしてエレベーターを降りる時、子供たちが「また来たい」と、当たり前のように言った。その言葉に、私たちはただ頷くしかなかった。

濡れたタオルの匂いが、かすかに心地よく漂っている。

  • 1月の冷たい風に備えて、子供たちには重ね着を。屋上プールへ行くときは、上がった直後にすぐ羽織れる大きめのバスタオルを忘れずに。
  • 鉄花村までは歩いてすぐ。夕暮れ時に、家族でゆっくりと散歩しながら、地元の空気感に溶け込む時間をプランに組み込んでみて。

近くのグルメ・スポット

七里香焼きまんじゅう

台東市正気路385巷7号にある30年以上の歴史を持つ地元小吃の老舗。拳大の巨大な焼き小籠包が看板で、外はカリッと中はふんわり、具がたっぷり。自家製甘辛ダレが風味を引き立てます。併せて各種ルーウェイ(燻製煮込み)も提供し、価格は手頃で焼き小籠包は1個25元。正気路と南京路の交差点近くの路地にあり、イートインとテイクアウト両方に対応しています。

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南北餃子館

台東市和平街117号の40年以上続く老舗。薄皮で弾力のある巨大な蒸し餃子が看板で、具がたっぷりジューシー。水餃子、焼きそば、炒め物、家庭料理も揃います。注文は手書きメニュー、タレはセルフ、辛いもの好きには自家製剥皮辣椒(皮むき唐辛子)がおすすめ。2階建ての店内は常に満席に近く、ランチ11〜14時、ディナー17〜20時30分、平均予算約400元。

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カジエルカジキ特産グルメ

台東成功鎮大同路115号にある、地元の鬼頭刀(マハタに似た白身魚)をテーマにした創意小吃店。魯肉飯、蚵仔煎(カキ焼き)、魚羹、フライ、水餃子など台湾料理に鬼頭刀を取り入れた手頃で郷土色豊かなメニューを展開。店内は古い台湾と原住民の要素を組み合わせた活気ある雰囲気で、台湾魯肉飯フェスティバルの推薦やグルメ番組でも取り上げられ、成功鎮の必食スポットです。

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ガジュマル米苔目

台東市中華路一段にある50年以上の歴史を持つ老舗。米苔目(細い米麺)が看板で、自家製唐辛子、黄金キムチ、香ばしい鬼頭刀の唐揚げなど小菜が評判。店内は広く行列時も回転が速く、冷房はないもののスープは飲みやすく昔ながらの味。台東観光で外せない名物料理の一つです。

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