マフラーに顔を半分埋めて歩く。次男がふと足を止め、「パパ、見て!息が白くなった!」と、自分の口からこぼれる白い煙を必死に追いかけていた。1月の台北の空気は、身体をきつく締め付ける硬いコートのように冷たく、どこか湿り気を帯びている。でも、その冷たさがあるからこそ、目的地へ向かう足取りが、心地よい緊張感に包まれているように感じた。
重いガラスドアを開けた瞬間、外の刺すような冷気がふっと消え、春のような温かい空気が肌を包み込んだ。捷絲旅 捷絲旅 台北西門館のロビーに足を踏み入れると、スタッフの方々が柔らかな笑顔で迎えてくれる。その温度感に、強張っていた肩の力がゆっくりとほどけていくのがわかった。子供たちが興奮して騒ぎ出しても、誰一人として眉をひそめない。ここでは、家族の賑やかささえも、心地よいBGMのように空間の一部として受け入れられている。
「カレイドスコープ」という名の、ピンク色の万華鏡のような空間。そこでは、カメラのシャッターを切る乾いた音と、子供たちの弾けるような笑い声が複雑に反響していた。長女が鏡に映る自分を指差して、「ねえ、ここ、どこまで続いてるの?」と不思議そうに呟く。鏡の中の自分を捕まえようとして、何度も小さな足を踏み出す仕草。その不器用で純粋な動きが、静かなホテルの廊下に、心地よいリズムを刻んでいた。
朝の「ジャストカフェ」で、白い湯気がゆらゆらと立ち上がる地元の朝ごはんを囲む。無料の朝食として提供される温かいお粥の、ほんのりとした甘みと優しい味が口いっぱいに広がった。次男が「これ、なんだかおばあちゃんの家みたいな味がする」と言って、夢中でスプーンを動かしている。外はまだ肌寒いけれど、お腹の中からじんわりと体温が上がっていく感覚。完璧なメニューであることよりも、その温度がちょうどよかったことを、きっと後になって思い出すのだろう。
午後の光が、白いレースのカーテンを通して部屋に降り注いでいた。当代風のモダンなインテリアが心地よいトリプルルームは、ベッドから窓辺まで、子供たちが一度に駆け抜けてもぶつからないくらいの絶妙な距離感がある。外の西門町の喧騒が遠くで低く鳴っているけれど、室内は不思議なほど静かだ。光と影の境界線が、時計の針に合わせてゆっくりと移動していくのを眺めていると、旅の目的は観光することではなく、ただこうして一緒に時間を消費することだったのかもしれないと感じる。
真っ白なシーツの上に置かれた、鮮やかなオレンジ色の枕。その色だけが、部屋の中で強い意志を持っているように見えた。指先で触れると、パリッとしたリネンの質感と、心地よい弾力がある。ミニ冷蔵庫で冷やした飲み物を一口飲み、喉を潤したところで、子供たちが枕を奪い合ってベッドの上で小さな格闘戦を始めていた。私はただ、その光景を眺めながら、旅の荷物を整理する。整理しきれない思い出が、スーツケースの隙間にどんどん溜まっていく感覚があった。
夜、全員が深い眠りに落ちた後の静寂。子供たちの規則正しい寝息だけが、部屋の中に柔らかく満ちている。さっきまであんなに騒がしかったのが嘘のように、今はただ、穏やかな時間が流れている。誰かが誰かの足に触れ、心地よさそうに身を寄せ合っている。この静けさは、何かが欠けているのではなく、心から満たされた後の贅沢な余白なのだと思う。私たちは、この場所で、飾らない、ただの家族に戻ることができた。
オレンジ色の枕に、最後の一片の冷気が溶けて消えていった。
- 西門町の路地裏にあるグラフィティアートを、子供と一緒に探検してみてください。色鮮やかな壁が、最高の背景になります。
- 捷絲旅 捷絲旅 台北西門館のスタッフの方に、地元の人しか知らない小さなお菓子屋さんの場所を、こっそり聞いてみるのがおすすめです。