私たちの不器用な旅を静かに見守っていたものたち
タッチパネルのスイッチ: 指先が触れるたびに伝わる、ひんやりとしたガラスの無機質な感触。深夜の静寂に波紋のように溶けていく「カチッ」という小さな作動音。午前2時に「今から士林夜市に行こう」という、誰の正気とも言い難い提案がなされた瞬間の、あの奇妙な緊張感と、心拍数を上げる期待感を、このスイッチは指先のわずかな震えと共に記憶しているはずだ。開いたドアから入り込んできた、台北の夜の湿った匂いさえも。
クロム製のシャワーヘッド: 鏡のように鋭く光る金属の質感。肌を叩く心地よい水圧と、タイルに弾ける水の音、そして指の間から流れる石鹸の甘い香りが、旅の疲れをゆっくりと解きほぐしていく。変換プラグを全員で忘れたことに気づいたときの、絶望的な、でもどこか可笑しくて堪らなかったパニックを、この銀色のヘッドはすべて洗い流し、私たちを再び「旅人」に戻してくれた。
白いリネンのベッド: 身体を預けるとほどよく沈み込む、包容力のある弾力と、肌に触れる清潔な布の温もり。豪華双人房のゆとりある空間で、三人で一枚の古びた地図を囲み、誰がどこで寝るかを激しく、かつ情熱的に交渉したときの、あの布のざらつき。計画通りにいかない旅こそが一番贅沢な冒険なのだということを、この真っ白な面は静かに肯定していた。
部屋のテレビ: 少しだけ反応が遅いリモコンのボタン。画面に映し出される、完璧に整えられたホテルの案内映像。コンビニで買い込んだ台湾のお菓子をベッドの上に散らかし、袋がカサカサと鳴る音に笑いながら、その映像の真面目さを全力でいじっていた私たちの、救いようのないほどくだらない時間を、この黒い画面は鏡のように映し出していた。
客用洗衣設備(コインランドリー): 低く、規則正しく響く機械の振動音と、鼻をくすぐる洗剤の清潔な匂い。湧蓮寺の近くで食べた切仔麵のスープを、誰がシャツに飛ばしたか。それを必死に消そうとして、さらに汚れを広げていたあの不器用な連帯感を、回転するドラムは静かに見守っていた。乾燥機から立ち上るもわっとした熱気は、私たちの絆をより確かなものにした。
もしこの部屋の家具たちが口を揃えて話すなら
彼らはきっと、私たちのことを「予測不能な嵐のような集団」と呼ぶだろう。台北集賢商旅の洗練されたデザインが、私たちの適当さと心地よい混沌に飲み込まれていく様子を、彼らは特等席で眺めていたに違いない。4月の湿った空気がカーテンの隙間から忍び込み、部屋を柔らかく満たしていたが、私たちの笑い声の熱量はそれを軽々と超えていた。「この壁の絵、前衛的なアートかな」と眼鏡をかけずに思い込んだのが、ただの巨大な靴の絵だったと気づいたとき、私たちはまた爆笑した。リネンの端の小さなほつれのように、完璧じゃないからこそ愛おしい。そんな時間が、私たちの間には確かに流れていた。
朝7時のカフェで、黄金色の光に包まれながら、私たちはまた次のくだらない賭けを始めた。
- 捷運徐匯中學駅からホテルまで歩く道すがら、4月の柔らかな風に身を任せてみる。
- 湧蓮寺の周辺で、地元の人に混じって本場の切仔麵を啜り、その熱さに驚いてみる。