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畳の上で、冷めた唐揚げを分かち合う

畳の上で、冷めた唐揚げを分かち合う

空腹という名の、深夜の共犯者

コンビニの自動ドアが開いた瞬間、夜の闇を切り裂くような刺すような白い光が降り注いだ。四月の京都はまだ夜風が冷たく、指先がかすかに痺れる。私たちは誰が言い出したかもわからないまま、誘い込まれるように揚げ物コーナーへと集まった。プラスチックの袋に詰め込まれた唐揚げと、なんとなく手に取ったおにぎり。袋が擦れるカサカサという乾いた音が、静まり返った夜の街に妙に大きく響き、それがなんだか密やかな悪戯をしているような気分にさせた。五条駅からの短い道のりを歩き、THE BLOSSOM KYOTOの入り口に辿り着いたとき、ようやく張り詰めていた肩の力がふっと抜けた。靴を脱ぎ、裸足で畳に触れる。ひんやりとした感触と共に、どこか懐かしい草の匂いが鼻をくすぐり、旅の疲れで尖っていた神経をゆっくりと解きほぐしていく。

冷めた唐揚げと、剥き出しの本音

「ねえ、そもそも誰がこのルートを『効率的』だって言い出したっけ」

誰かが、少し冷めて油が白くなった唐揚げを口に放り込みながら、わざとらしく溜息をついた。私たちは顔を見合わせ、同時に小さく吹き出す。計画では、完璧なタイミングで桜のトンネルを抜け、混雑を避けて隠れ家のような寺院に辿り着くはずだった。だが現実はどうだ。人混みに揉まれ、信頼していた地図アプリに裏切られ、気づけば予定の三倍もの距離を歩かされていた。足の裏がジンジンと脈打ち、心地よい疲労感が波のように押し寄せてくる。

「まあ、あの人のナビ能力を盲信した私たちが悪いよね」

「ちょっと待って、私はちゃんと北を向いて歩いてたはずなんだけど」

「北に向かって、全力で南に歩いてたでしょ」

笑いながら、おにぎりの包装を丁寧に剥がす。指先に残ったわずかな油の感触が、今の私たちには心地いい。モデレートツインの部屋は、モダンな設えでありながら、畳があるというだけで不思議と口調が軽くなる。坪庭を思わせる静謐な空気感に包まれているせいか、おしゃれなレストランで作法通りに食事をする時間よりも、こうして床に座り込んで互いの不手際を笑い飛ばす時間の方が、ずっと贅沢で、ずっと人間らしいと感じられた。私たちは、旅の正解なんてどこにもないことを、冷めた揚げ物の味と一緒にゆっくりと飲み込んだ。

満たされた胃袋と、心地よい空白

食後の静寂は、心地よい重量感を持って部屋に降りてくる。コンビニのゴミをまとめ、飲み干したペットボトルの結露が畳に小さな染みを作っていた。もしかすると、私たちはこの不格好で、予定調和ではない時間こそを求めて京都に来たのかもしれない。予定通りに動くことよりも、予定が崩れたあとにどうやって笑い合うか。その不完全さこそが、旅の醍醐味なのだ。ベッドに体を深く沈めると、洗い立てのリネンの清潔な香りが優しく鼻をくすぐった。窓の外には、深い藍色に染まった京都の夜が静かに広がっている。明日になれば、また誰かが立てた「完璧な計画」に従って歩き出すのだろう。けれど、今のこの瞬間だけは、何も達成しなくていい。ただ、お腹が満たされていて、隣に気心の知れた誰かがいて、心地よい疲労に身を任せる。それだけで、十分すぎるほど満たされていた。

遠くでかすかに聞こえる車の走行音が、静かな子守唄となって意識を溶かしていく。

  • 京都の地酒を合わせた、コンビニのこだわりおつまみセット
  • 深夜の散歩で見つけた、地元の和菓子屋さんの残りの大福