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指先の冷たさと、誰かの笑い声

指先の冷たさと、誰かの笑い声

冬の風と、静寂への逃避行

(友人Aの記憶)
金属的な冬の冷気が、コートの隙間から容赦なく忍び込む。一月の京都の風は鋭い刃のようで、思考さえも白く凍りつかせそうだった。けれど、アルモントホテル京都 / Almont Hotel Kyotoのロビーに足を踏み入れた瞬間、琥珀色の柔らかな光と温かな空気が、強張った身体をふわりと解きほぐしてくれた。案内されたデラックスツインC(セパレートタイプ)の部屋には、心地よい静寂と絶妙な余白が広がっている。バスルームが独立しているという機能的な配慮が、旅の緊張を静かに消し去ってくれた。重い荷物を床に下ろし、深く息をついたとき、「明日からの予定をすべて白紙にして、ここで眠りたい」と本気で願ったほどだった。

(友人Bの記憶)
駅からの道中、私たちは誰が一番先に「寒い」と白旗を上げるか、そんなくだらない賭けに興じていた。結果は私の完敗。けれど、部屋のドアを開けた瞬間に目に飛び込んできた、雲のようにふっくらとした真っ白なデュベスタイルのベッドを見たとき、敗北感などどこかへ吹き飛んだ。裸足で踏みしめたカーペットの柔らかな感触に心地よさを感じ、ついベッドの上で小さく跳ねてしまう。友人Aが「落ち着いた空間だね」と大人ぶって呟いていたけれど、実際は二人して、どちらが先にこの大きなベッドを占領するかで小競り合いを始めていた。窓の外に広がる冬の街並みが、淡い水彩画のように霞んで見え、心地よい非現実感に包まれた旅の始まりだった。

彩りの朝食、二つの記憶

(友人Aの記憶)
午前七時。まだ意識が微睡みのなかにある状態で向かった朝食バイキング。湯気と共に立ち上がる出汁の芳醇な香りが、冷えた頭をゆっくりと呼び覚ましていく。お箸でつまんだお浸しの深い緑や、京野菜の鮮やかな橙色。その色彩の美しさに目を奪われながら、絶妙な塩気と出汁の旨味を堪能した。温かい味噌汁を一口啜れば、胃のあたりからじんわりと熱が広がり、ようやく自分が京都の地に立っていることを実感する。派手さはないが、作り手の丁寧な仕事が伝わる確かな温度のある食事。隣で山盛りの料理を頬張る友人を眺めながら、私は自分だけの静かな高揚感に浸っていた。

(友人Bの記憶)
私にとって朝ごはんは、最高に贅沢な「戦い」だった。だって、目の前には抗いようのないほど美味しそうなメニューがずらりと並んでいるのだから。炊きたての白いご飯から立ち昇る甘い香りに、胃袋が歓喜の声を上げる。気になる惣菜を次々と皿に盛り付け、口いっぱいに頬張る幸福感。隣で友人Aが「丁寧な味だね」と食通のような顔をして味わっていたのがおかしくて、つい吹き出した笑い声が店内に響いた。周りのゲストに少し注目されたけれど、私たちは気にせず、どちらがより効率的に美味しいものを集められるかというくだらない競争に没頭していた。お腹が満たされると心まで丸くなる、そんな単純で幸せな朝だった。

唯一、心が重なった場所

結局、この旅で私たちが心から同意したのは、アルモントホテル京都 / Almont Hotel Kyotoが誇る「光明石温泉®」の心地よさについてだった。氷のように冷え切った指先が、とろみのある熱い湯に触れた瞬間、皮膚の表面でパチパチと火花が散るような心地よい刺激が走り、全身の緊張がほどけていく。水面の揺らぎを眺めていると、誰が計画を立て、誰が道を間違えたかなど、どうでもよくなった。ただ温かいお湯に包まれているという事実だけが、すべてだった。ふと隣の友人と目が合い、言葉を交わさずとも「最高だね」という想いが共鳴する。お湯の温度と、かすかに聞こえる水の音。その共有された静寂こそが、旅における本当の贅沢なのだと感じた。

チェックアウトのとき、エレベーターのボタンを押しながら、私たちは次の旅の計画を立て始めていた。けれど、その計画がまためちゃくちゃになることは、もう分かっていた。

  • 京都駅から徒歩五分。冬の冷たい風を切り裂いて歩く、あの短い距離の心地よさを味わってほしい。
  • 朝食バイキングの京野菜を、あえてゆっくりと時間をかけて味わう贅沢を自分に許してほしい。