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肉まんの湯気と、エアコンの低い唸り

肉まんの湯気と、エアコンの低い唸り

神戸の街とホテルで試した、4つの無謀な作戦

「元町商店街から、誰が一番早くホテルに辿り着くか」という不毛な競争
首筋にまとわりつく湿ったぬるい風に耐えながら、地図アプリを盲信して突き進んだ結果、全員が同じ方向で迷子になるという快挙を達成。たまたま迷い込んだ路地裏の古本屋で、古びた紙とインクが混ざり合った静謐な香りに誘われ、「誰が一番古臭い本を見つけられるか」という別の賭けにすり替わった。結局、誰も本を買わずに店を出たという完璧な時間泥棒に終わったが、あの店に漂っていた時間の止まったような温度感だけは、今の私たちに心地よかった。

「南京町の喧騒の中、予算3000円で最高に贅沢な食べ歩きを完遂する」というチーム作戦
鼻腔をくすぐる濃厚な胡麻油の香りと、視界を白く染める肉まんの熱い湯気。蒸し暑い空気の中で、誰が何を食べていたかさえ曖昧なまま、口の周りをタレで汚して笑い合った。結果として、胃袋は限界までパンパンになり、服には中華街の香りが深く染み付いたが、それがなんだという話だ。信じられないかもしれないが、あの混雑の中で肩がぶつかり合う密な感覚が、不思議と心地よい連帯感に変わっていた。

「部屋の最新ガジェットを駆使して、自分たちだけの深夜映画館を作る」という挑戦
神戸プラザホテルウエストのコーナーツインに備え付けられたアンドロイドテレビの設定に格闘すること30分。「どの配信サービスが正解か」で激しく揉めているうちに、キンキンに冷えた冷房の風が火照った肌をなで、抗えない眠気が襲ってきた。結局、映画が始まる前に全員がベッドにダイブして寝落ちするという完全なる敗北。けれど、冷たいシーツが肌に触れた瞬間の、脳がしびれるような快感だけは、今でも鮮明に記憶に刻まれている。

「ポートタワーまで、誰が一番『涼しい顔』で歩けるか」というプライドをかけた競争
8月の神戸の湿度は、まるで誰かに強く抱きしめられているかのような圧迫感があった。開始5分で全員が呼吸を乱し、「涼しい顔」どころか、茹で上がったタコのような顔でコンビニに駆け込む始末。結果、冷たいお茶を飲み干した瞬間に喉を突き抜けた鋭い刺激だけが、この競争の唯一の報酬だった。ありえないほどの酷暑だったからこそ、あの冷たさがまるで聖水のように感じられたのだ。

結局、誰が一番得をしたかという集計表

正直に言って、計画していたことのほとんどは失敗に終わった。けれど、結果的に一番得をしたのは私たち全員だと思う。外の空気が重ければ重いほど、神戸プラザホテルウエストのドアを閉めた瞬間に訪れる、あの静寂と冷気のコントラストが至福の贅沢に感じられたから。ラウンジで作戦を練った時間は無駄だったかもしれないが、落ち着いた色調のインテリアに囲まれた12平米の空間は、友人たちと集まればちょうどいい「心地よい繭」になった。ベッドからデスクまでの数歩の距離で、誰かが誰かの足を踏み、それをネタに笑い転げる。そんな不便さが、今の私たちには何より贅沢だった。道端で拾った、完璧に丸い小さな石を「神戸くん」と名付けたくだらない時間も含めて。完璧な旅よりも、こういう「ちょっとしたズレ」がある旅の方が、後で思い出した時に胸の奥が温かくなる気がする。

氷がグラスに当たるカチカチという音と、窓の外に広がる神戸の深い夜色。

  • 朝7時の南京町を散歩して、店が開く前の静かな路地で「誰が一番早く猫を見つけるか」を競ってみてほしい。
  • 部屋の冷房を最大にして、コンビニで買った一番安いアイスを、誰が一番ゆっくり溶かさずに食べられるか賭けてみて。