← 戻る 七星潭渡假飯店

青い光の中で、肩と肩の距離を測っていた

青い光の中で、肩と肩の距離を測っていた

陽光が溶け出す、白と青のプロローグ

8月の花蓮は、空気が湿った熱を帯びていて、肌に触れる風さえもぬるい液体のようにまとわりついてくる。七星潭渡假飯店の白い壁に手が触れたとき、その表面が太陽の熱を吸い込んで、かすかに脈打っているように感じた。潮風に混じって、どこか懐かしい草木の香りが鼻をくすぐる。私たちは、どちらからともなくホテルで借りた自転車にまたがった。タイヤが砂利を噛む小さな音と、チェーンが回る規則的なリズム。もしかすると、私たちはまだ、お互いの正しい距離感を探している最中だったのかもしれない。「ねえ、置いていかないでよ」と君が笑いながら加速する。その声が、夏の午後の静寂に心地よく波紋を広げる。海辺に到着すると、そこには新月形の弧を描く海岸線が広がっていた。波が礫石を洗うたびに、カチカチという乾いた音が重なり合い、まるで誰かが小さな楽器を鳴らしているみたいに聞こえた。そんな不格好でぎこちない時間こそが、今の私たちにはちょうどいい。完璧な旅よりも、少しだけ不自由な時間の方が、お互いの輪郭をはっきりとさせてくれる気がしたから。

境界線でほどけていく、心の温度

ホテルのロビーに足を踏み入れると、外の熱気が嘘のように消え、ひんやりとした空気が肌を撫でた。視界に入るのは、海洋をテーマにした空間ならではの、鮮やかな白と深い青のコントラスト。ロビーの壁に描かれた波のモチーフが、まるで生きているかのように揺らめいて見えた。この色彩は、見る人の心をどこか遠く、未知の海へと連れ去ってしまう。けれど、不思議と不安はなかった。もしかすると、この非日常的な空間が、私たちの間にある緊張感を優しく解きほぐしてくれたのかもしれない。朝食にいただいた、剥皮辣椒と原住民風の塩豚が入ったサンドイッチの味が忘れられない。ピリッとした唐辛子の刺激と、凝縮された豚肉の塩気が口の中で混ざり合い、目覚めたばかりの感覚をゆっくりと呼び覚ましていく。併設のカフェから漂う香ばしいコーヒーの湯気が鼻先をかすめ、窓の外に広がる太平洋の青が、液体のように部屋の中まで流れ込んでくる。豪華な設備があることよりも、裸足で踏んだタイルの冷たさが心地よかったことや、スタッフの方の控えめな微笑みが記憶に残っている。ここでは、何もしないことが、一番贅沢な過ごし方なのだと気づかされた。

月光が満ちる、夜の密やかな対話

夜になると、世界の色は一変する。私たちはホテルの屋上にあるテラスへ上がった。そこには、遮るもののない夜空と、どこまでも深い闇に溶け込む海が広がっていた。天の川が白く滲み、星々が海面に零れ落ちたかのようにきらめいている。昼間の賑やかさが嘘のように消え、聞こえてくるのは太平洋の深い呼吸のような波音だけ。私たちは、並んでデッキチェアに身を預け、ただ静かに海を眺めていた。夜風が髪を揺らし、肌を心地よく冷やす。月明かりが海面に降り注ぎ、銀色の液体がゆっくりと揺れている。その光の流れを見ているうちに、昼間は言い出せなかった言葉が、ふと口をついて出た。「本当は、この旅が終わるのが怖かったんだ」と呟いた私の肩に、君の肩がそっと触れる。そのわずかな体温が、どんな言葉よりも正確に「ここにいていい」と教えてくれた気がする。私たちは、お互いの未来について、あるいは今の不確かさについて、とりとめもなく話し始めた。答えなんて出なくていい。ただ、同じリズムで呼吸をして、同じ温度の夜風に吹かれている。その事実だけで、胸の奥にある空洞が、静かに満たされていくのがわかった。夜の海は、すべてを飲み込むのではなく、すべてを包み込んでくれる。そんな包容力に身を任せていると、孤独という臓器さえも、心地よい重みを持って私の一部になっていると感じられた。

深い青に沈み込む、静寂の共鳴

部屋に戻ると、そこには深いブルーを基調とした静寂が待っていた。ベッドに体を沈めたとき、リネンのひんやりとした質感が肌に心地よく、心地よい疲労感が波のように押し寄せてくる。枕に顔を埋めると、清潔な洗剤の香りがふわりと広がり、意識がゆっくりと遠のいていく。エアコンの低い唸り声が、外の波音と共鳴して、部屋全体が巨大な共鳴箱になったみたいだ。この部屋の青は、単なる色ではなく、私たちを保護する繭のような静寂だった。暗闇の中で、君の寝息が聞こえ始める。その一定のリズムに自分の呼吸を合わせていくとき、私たちは一つの大きな流れの中にいるように感じた。もしかすると、愛することとは、相手と同じ周波数に合わせようとする努力ではなく、ただ隣で同じ静寂を共有できることなのかもしれない。窓の外では、まだ海が礫石を洗う音が聞こえている。その音は、記憶の底に沈んでいた古い扉を静かに叩く音のようだった。でも今は、その音さえも心地よいBGMに聞こえる。明日になればまた、眩しい太陽が昇り、私たちはまた少しだけぎこちない距離感で歩き出すのだろう。けれど、この夜に共有した深い青色の記憶がある限り、もう迷うことはない気がする。

波の音が、ゆっくりと私たちを明日へ運んでいく。

  • ホテルの無料自転車を借りて、早朝の七星潭を散歩するのがおすすめ。
  • 屋上テラスで、夜の太平洋の呼吸に耳を澄ませる時間を大切にしてほしい。

近くのグルメ・スポット

来成排骨麺

來成排骨麺は花蓮市中正路にある1948年創業の老舗小吃店で、独特の排骨酥(リブスーの唐揚げ蒸し)とコラーゲンたっぷりの豚足が看板です。排骨酥は揚げてから蒸すことで外はカリッとし、甘辛クリアなスープと合わさり、豚足はプリプリとした弾力ある食感。この二品を合わせた組み合わせは、地元の食通や観光客が必ず頼む定番メニューです。店内では内用席とチャイルドシートを用意。2025年に移転して駐車が便利になり、家族や友人との会食に最適です。

74

公正包子

公正包子は花蓮市の老舗小吃店で、厚めの甘みある皮が特徴の小籠包で有名です。1個約5台湾ドルで、手作り調味の豚肉餡を包み、パンチが欲しい方は自家製唐辛子ソースを。小籠包以外にも蒸餃、湯包、肉羹麺、酸辣麺、貢丸湯、アイス豆乳、紅茶を取り揃え。2023年末に仁愛街と成功街の角へ移転し、人気の「廟口紅茶」の向かいに。小さな店構えですが地元民と観光客の長蛇の列が絶えず、花蓮に来たら外せない必食スポットです。

62

公正街包子店

公正街包子店は花蓮市街の40年以上続く老舗小吃で、厚皮の小籠包と蒸餃が看板です。生地は手で延ばして柔らかくモチモチ、ほんのり甘く、シンプルな味付けの肉汁あふれる豚餡を包みます。蒸餃、湯餃、肉羹麺、酸辣麺、貢丸湯、アイス豆乳、紅茶なども提供。2023年末の移転後も人気は健在で、行列は減りましたが花蓮の必食小吃として外せません。価格も手頃で、小籠包は1個約5〜7台湾ドル、気軽に食べられる手軽さが魅力です。

67

周家蒸餃

周家蒸餃小籠包は花蓮市の公正街にある老舗で、50年近くにわたりその場で包んで蒸す蒸餃と小籠包が看板です。3種類の蒸餃、手作り小籠包、酸辣湯、肉羹湯、ルーロー飯など多彩なメニューを取り揃え、24時間営業。朝食、ランチ、ディナー、夜食とどんな時間でも利用できます。蒸餃は10個で約30台湾ドル、小籠包は10個で約40台湾ドルと手頃で味も鮮やか。長蛇の列が日常で、地元民と観光客双方の必訪グルメスポットです。

62