← 戻る 美侖大飯店

午前7時のパンが持っていた温度

午前7時のパンが持っていた温度

藍い夜の静寂と、迷宮の笑い声

冷たい空気が肺の奥まで届き、思考が透き通っていく感覚があった。美侖大飯店の広大な森林園区を歩いていると、濡れた土と冬の針葉樹が混ざり合った、少しだけ鋭い香りが鼻をくすぐる。12月の花蓮は、風が皮膚を薄く削り取るような冷たさを持っているけれど、だからこそ、隣にいる友人たちの体温が、目に見えない温もりの輪となって私たちを囲っているのがわかった。遠くで静まり返った泳池の水面が月光を跳ね返し、時折混ざる誰かの笑い声が心地よいリズムとなって夜の闇に溶けていく。ただそこに在ることの充足感を、静かに噛み締めていた。


信じられないと思うけど、私たちはこの夜、誰が一番先に迷子になるかっていうくだらない賭けをしていた。「絶対こっちだって!」という根拠のない自信に満ちた声が響く。結果はどうなったと思う?全員で同じ方向に歩いていたはずなのに、気づけば誰も見たことのない深い茂みの前に立っていた。濡れた芝生で靴がぐちょりと音を立て、辺りは完全な暗闇。でも、その状況に誰一人として焦る人がいなくて、むしろ「作戦失敗」と言い合いながら大笑いしていたのが最高だった。夜の庭はちょっとした迷宮のようで、私たちの不器用なナビゲーション能力をあざ笑っているみたいだったけれど、そんな「想定外」こそが、この旅の正解だった気がする。

黄金色の温もりと、賑やかな混沌

指先が凍えるほど冷えていたから、ベッカのベーカリーで買ったパンを袋から出したとき、その熱が皮膚に触れた瞬間の快感は忘れられない。外側はパリッと小気味よい音を立て、中は驚くほどしっとりとしている。口に運ぶと、濃厚なバターの香りがじわりと広がり、凍えていた体温が内側からゆっくりと書き換えられていくような感覚。12月の冷たい空気の中で食べる焼きたてのパンは、単なる食事ではなく、身体への小さな救済に近い。噛むたびに小麦の甘みと塩気が絶妙なバランスで溶け合い、心地よい充足感が胃のあたりに溜まっていく。その一口に、旅のすべての緊張がほどけていくのがわかった。


正直言って、パンの味よりも、それを奪い合った時のカオスの方が記憶に刻まれている。最後の一つを誰が食べるかで、私たちは本気で議論を始めた。結果的に、誰かが不意に袋をひっくり返して、黄金色のパンがテーブルに散らばった瞬間のあの静寂。その後、一斉に「あー!」とツッコミを入れたあの空気感。もともと食いしん坊なメンバーが集まったから、優雅な朝食なんて無理な話だったのかもしれない。でも、笑いすぎて口いっぱいにパンを詰め込んだまま、お互いの顔を見てまた笑い転げる。そんな、洗練とは程遠い時間が、何よりも贅沢に感じられた。

唯一、心から同意した安らぎ

旅の終わり、私たちはある一つのことで完全に意見が一致した。それは、美侖大飯店に戻ってきて、あの深いベッドに体を沈めた瞬間の、圧倒的な解放感についてだ。裸足で踏んだカーペットの厚みが、一日中歩き回った足の疲れと外の喧騒をすべて吸い込んでくれる。そこは、私たちだけの柔らかい繭のような空間だった。誰がどのベッドで寝るか、誰が先にシャワーを浴びるか、そんな些細なことでまた言い合いをしたけれど、結局は心地よい疲れに身を任せて、意識が遠のいていく。静かなシェルターの中で、私たちは言葉を交わさなくても、この場所を選んで正解だったことを確信していた。

枕元のランプを消したとき、隣のベッドから聞こえた小さな寝息が、この旅で一番優しい音だった。

  • 1階のベッカで焼きたてのパンを買い込み、部屋で賑やかに分かち合うこと
  • 早起きして、海平線から金色の光が溢れ出す瞬間を、ただ黙って眺めること

近くのグルメ・スポット

来成排骨麺

來成排骨麺は花蓮市中正路にある1948年創業の老舗小吃店で、独特の排骨酥(リブスーの唐揚げ蒸し)とコラーゲンたっぷりの豚足が看板です。排骨酥は揚げてから蒸すことで外はカリッとし、甘辛クリアなスープと合わさり、豚足はプリプリとした弾力ある食感。この二品を合わせた組み合わせは、地元の食通や観光客が必ず頼む定番メニューです。店内では内用席とチャイルドシートを用意。2025年に移転して駐車が便利になり、家族や友人との会食に最適です。

74

公正包子

公正包子は花蓮市の老舗小吃店で、厚めの甘みある皮が特徴の小籠包で有名です。1個約5台湾ドルで、手作り調味の豚肉餡を包み、パンチが欲しい方は自家製唐辛子ソースを。小籠包以外にも蒸餃、湯包、肉羹麺、酸辣麺、貢丸湯、アイス豆乳、紅茶を取り揃え。2023年末に仁愛街と成功街の角へ移転し、人気の「廟口紅茶」の向かいに。小さな店構えですが地元民と観光客の長蛇の列が絶えず、花蓮に来たら外せない必食スポットです。

62

公正街包子店

公正街包子店は花蓮市街の40年以上続く老舗小吃で、厚皮の小籠包と蒸餃が看板です。生地は手で延ばして柔らかくモチモチ、ほんのり甘く、シンプルな味付けの肉汁あふれる豚餡を包みます。蒸餃、湯餃、肉羹麺、酸辣麺、貢丸湯、アイス豆乳、紅茶なども提供。2023年末の移転後も人気は健在で、行列は減りましたが花蓮の必食小吃として外せません。価格も手頃で、小籠包は1個約5〜7台湾ドル、気軽に食べられる手軽さが魅力です。

67

周家蒸餃

周家蒸餃小籠包は花蓮市の公正街にある老舗で、50年近くにわたりその場で包んで蒸す蒸餃と小籠包が看板です。3種類の蒸餃、手作り小籠包、酸辣湯、肉羹湯、ルーロー飯など多彩なメニューを取り揃え、24時間営業。朝食、ランチ、ディナー、夜食とどんな時間でも利用できます。蒸餃は10個で約30台湾ドル、小籠包は10個で約40台湾ドルと手頃で味も鮮やか。長蛇の列が日常で、地元民と観光客双方の必訪グルメスポットです。

62