← 戻る 静鉄ホテルプレジオ 静岡駅北

「靴下が片方ない」と笑った朝

「靴下が片方ない」と笑った朝

静岡の春を抱きしめる、五つの記憶の音

1. 絨毯に吸い込まれる、弾むような小さな足音。部屋に入った瞬間、下の子が「わあ、すごい!」と声を上げて走り出した。厚みのあるカーペットがその衝動を優しく飲み込み、静鉄ホテルプレジオ 静岡駅北のコンパクトルームという限られた空間が、家族を包み込む心地よい繭のように感じられた。ここでは子供の奔放ささえも、穏やかな旅のリズムに変わっていく。

2. カップの底で小さく鳴る、ティーバッグの静かな音。子供たちがテレビに夢中になっている隙に、私は静岡の深い緑を淹れた。「ふぅ……」と漏れた溜息と共に、立ち昇る湯気が張り詰めていた肩の力をゆっくりと解いていく。温かい茶碗から伝わる熱と、鼻腔をくすぐる若葉の香りに、大人の時間という名の贅沢な静寂が戻ってきた心地がした。

3. 限界まで詰め込んだスーツケースの、ジッパーが軋む鋭い音。上の子が「全部持っていく!」と主張したおもちゃたちが、中で激しく主張し合っている。家族全員で体重をかけ、金属が悲鳴を上げるまで押し込んでようやく閉じたときの、あの奇妙な一体感と安堵感。旅の思い出とは、こうした不器用で騒がしい共同作業の積み重ねでできているのだと思う。

4. 窓の外から忍び込む、四月の柔らかな風の音。薄いカーテンが白く揺れ、そこには桜の季節特有の、どこか甘く切ない匂いが混じっていた。街がゆっくりと呼吸を始める気配を聞きながら、私たちは今日どこへ行こうかと語り合う。正解のない目的地を探す不確かさが、旅という時間をもっと自由で、鮮やかなものにしてくれる。

5. 体重が深く受け止められる、沈み込みの柔らかな音。サータ製のベッドに身を投げ出したとき、下の子が「あ、消えちゃう!」と楽しそうに声を上げた。跳ね返るのではなく、深い慈しみで包み込まれる感覚。免震構造という目に見えない安心感に守られながら、一日の疲労が足首から溶け出し、呼吸が深く、静かになっていく。ここにあるのは、ただ心地よい重力だけだった。

枕元に散らばったおもちゃを眺めながら、深い眠りに落ちていく。

  • 静岡駅北口からホテルまでのわずか3分間、あえてゆっくり歩いて春の空気を深く吸い込んでほしい。
  • お部屋のティーバッグで、旅の合間に「何もしない時間」を5分だけ作ってみて。