← 戻る 白良荘グランドホテル

小さな手のひらに残っていた、潮風のにおい

小さな手のひらに残っていた、潮風のにおい

鼻腔を突き抜ける冷気が、肺の奥まで白く染め上げるような感覚。1月の白浜は空気がひどく澄み渡り、遠くの水平線が鋭いナイフで切り取られたかのようにくっきりと見えていた。ホテルのバルコニーに足を踏み出した瞬間、肌を刺す凍てつく風に、家族全員で「ひゃっ」と短い悲鳴を上げた。けれど、その直後に部屋に戻り、裸足で畳を踏んだときの、あのじんわりと伝わる温度。外の厳しさと内の心地よさ、その鮮やかなコントラストこそが、冬の旅の正体なのかもしれない。

白良荘グランドホテルの広々とした和洋室に、5人の人間がひしめき合っている。誰かが荷物を広げ、誰かがテレビのリモコンを探し、誰かが窓の外に広がる紺碧の海に夢中になっている。整然とした静寂なんてどこにもないけれど、その賑やかな騒がしさが心地よいリズムとなり、部屋全体を温かく包み込んでいた。私たちは完璧な休暇を計画したつもりだったけれど、実際には、予定通りにいかない時間こそが一番の宝物になる。そんな当たり前のことを、この場所で改めて思い出した。

冬の白浜で家族が分かち合った、5つの記憶

色とりどりのデザイン浴衣:糊のきいたパリッとした生地が肌に触れる、少し硬い感触。青い柄にこだわった上の子が、帯を締め直すたびにもぞもぞと動く、幼いもどかしさと高揚感。一番最初に「似合ってるね」と目を細めて笑ったのは、お父さんだった。

手作り梅ジュース:舌を刺激する、甘酸っぱく濃密な琥珀色の味わい。小さな指先がベタベタになり、それを拭う間もなく次の一口を欲しがる下の子の、宝石のようにキラキラした瞳。誰よりも夢中でグラスの中をかき混ぜていたのは、次男だった。

冬の白良浜の白い砂:靴を脱いで踏み出した瞬間、足の指先から突き抜ける凍えるような冷たさ。冬の強い光を反射して、眩しいほどに純白な砂がどこまでも広がっていた。最初に「海が笑ってる!」と歓声を上げたのは、一番下の子だった。

重なり合う布団:洗いたてのリネンが持つ、清潔で乾いた陽だまりのようなにおい。広い空間に布団が敷き詰められ、家族全員が身を寄せ合うと、そこは世界で一番安全なシェルターになった。誰が一番に心地よさを感じたかは分からないが、深い寝息が部屋を満たしていた。

露天風呂の白い湯気:冷え切った頬を包み込む、柔らかくて温かい蒸気のヴェール。お湯に浸かった瞬間、身体の芯から力が抜け、思考が真っ白な湯気に溶けていく感覚。一番に「あぁ、生き返る」と深く吐息をついたのは、お母さんだった。

窓の外で、静かに波が寄せては返す音が、心地よい子守唄のように部屋に満ちている。

  • 白良浜まで徒歩わずか0.5分。早朝の静寂に包まれた白い砂浜を、家族でゆっくり散歩してみてください。
  • お子様向けの体験プランを組み合わせて、一緒に「作る」時間を過ごすと、旅の記憶がより鮮明に刻まれます。