← 戻る ホテルクラウンヒルズ 仙台青葉通り(BBHホテルグループ)

靴底に残った、小さな雪の粒

スーツケースのファスナーが、どうしても閉まらなかった。仙台駅で子供たちがどうしても欲しいと言い張った、抱きしめるほど大きなペンギンのぬいぐるみを無理やり押し込もうとしていたからだ。冬の思い出をすべて詰め込もうとするのは、少し欲張りすぎたのかもしれない。でも、そのもどかしささえも、旅の一部なのだという気がする。

駅からホテルクラウンヒルズ仙台青葉通りまで歩く7分間、空気は鋭い刃物のように肌を刺した。12月の仙台の風は、肺の奥まで冷たく、吐き出す息は真っ白な煙となって夜の闇に溶けていく。子供たちは寒さに身を縮めながらも、街を彩るイルミネーションの光に目を輝かせていた。その光は、まるで凍った空気に散りばめられた宝石のようで、歩くたびに足元の冷たさを忘れさせてくれた。

ホテルの自動ドアが開いた瞬間、外の刺すような冷気が、ふわりと温かい空気に置き換わった。それはまるで、見えない温かい毛布に包み込まれたような感覚だった。チェックインを済ませ、家族で部屋に入ると、そこには心地よい静寂と、少しだけ狭いけれど濃密な空間が広がっていた。末っ子がホテルのパジャマに袖を通したが、サイズが大きすぎて、まるで小さな幽霊が廊下を漂っているみたいに見えた。その滑稽な姿に、家族全員で小さく笑った。完璧な旅なんてないけれど、こういう不意に訪れる笑いこそが、後で一番思い出すものになるのかもしれない。


家族の記憶に触れた5つの断片

最高級マットレスの沈み込み: 飛び込んだ瞬間に体が深く包み込まれる、心地よい重力感。シーツのパリッとした冷たさが、次第に体温でぬるくなっていく。末っ子が一番に気づいて、そのままベッドの上で跳ね回っていた。

大浴場の白い湯気: 視界がぼやけ、外の凍てつく世界が完全に遮断される感覚。お湯が肌に触れた時の、じわっと芯まで広がる熱量。一番乗りで湯船に浸かった父の、深く長い溜息が水面に波紋を作っていた。

朝食バイキングの湯気と香り: 立ち昇る味噌汁の香りと、地元の食材を使ったおかずの鮮やかな色彩。プレートに山盛りにした料理がぶつかり合う、小さく賑やかな音。長女が「これ、美味しい!」と口いっぱいに頬張っていた。

アーケードの冷たい風: ホテルを出てすぐに触れる、冬の仙台の鋭い空気。イルミネーションの光が雪のように降り注ぐ景色。母が「寒いね」と言いながら、子供たちのマフラーをきつく締め直していた。

ウェルカムドリンクのカップ: 指先に伝わる、ちょうどいい温度の温かさ。ロビーの喧騒が遠のき、ふっと肩の力が抜ける瞬間。家族全員で、同時に「ふぅ」と深く息をついた。


玄関に脱ぎ捨てられた靴の底に、小さな雪の粒がまだ白く光っていた。
  • 仙台駅からの徒歩7分を、あえてゆっくり歩いて、街の温度の変化を楽しんでみてください。
  • 大浴場から上がった後、家族で温かい飲み物を飲みながら、その日の「失敗」を笑い合ってみては。