← 戻る ロワジール スパタワー 那覇

濡れたサンダルと、誰かの笑い声

濡れたサンダルと、誰かの笑い声

雨の那覇で耳にした、家族の記憶を綴る五つの音

しとしとと、プライベートバルコニーのガラスを叩く雨のリズム。湿った潮風が肌にまとわりつき、視界は水彩画のように淡くぼやけている。次男がプラスチックのコップで雨粒を捕まえようと必死に手を伸ばし、「見て、水の世界だよ!」と叫んで自分の足に水をぶちまけては、お互いに顔を見合わせて笑った。外の世界を諦めたときだけ、目の前の小さな笑い声が鮮明に聞こえてくるという気がする。

パタパタと、厚いカーペットを駆ける小さな足音。ホテルの浴衣をマントのように羽織った長女が、迷子になったおもちゃを探して部屋中を走り回っている。その音はまるで小さな軍隊の作戦会議のように賑やかだが、その不完全なノイズが、部屋の静寂をちょうどいい温度に温めてくれていた。完璧な静けさよりも、誰かがそこにいるという気配の方が、ずっと安心できるものだ。

バシャバシャと響く、温泉の心地よい水音。ロワジール スパタワー 那覇の湯気で視界が白く塗りつぶされた空間で、次男が「このお湯は魔法の薬なの?」と不思議そうに呟いた。ぬるま湯の温度が、旅の疲れで強張っていた肩の力をゆっくりと解いていく。水面に広がる波紋を見つめていると、家族というチームの境界線が、温かな湯の中に溶けて曖昧になっていく感覚があった。

ズズッ、と沖縄そばを啜る快い音。テーブルには琉球ガラスの鮮やかな色彩が添えられ、子供たちの口の周りはソースで汚れている。上品な食事とは程遠いけれど、その無作法な音が、今の私たちには一番の贅沢に聞こえた。出汁の芳醇な香りと、子供たちの満足げな溜息。幸せはいつだって、こんな乱雑な風景の中に紛れ込んでいるものだ。

スー、スーという、深い呼吸の重なり。スパデラックスツインの広々としたベッドは、子供たちが三回転しても端に辿り着かないほどに広く、そこはもう一つの小さな島だった。エアコンの低い唸り声と、家族の規則正しい呼吸。誰かが寝返りを打つたびに、リネンの心地よい重みが移動する。この広すぎるベッドの中で重なり合っているいまだけは、世界で一番安全な場所にいると感じられた。

濡れた髪から、かすかに石鹸の甘い匂いが漂っていた。

  • 子供たちが飽きる前に、パノラミックな窓から雨の那覇をただ眺める静寂の時間を1時間だけ作ってみてほしい。
  • 朝食の沖縄そばは、ぜひ子供たちに好きなだけ啜らせて。その奔放な音こそが、旅の本当のサウンドトラックになる。