← 戻る ハイアットリージェンシー 瀬良垣アイランド 沖縄

足先が冷たいまま、隣にいたこと

同じ景色、違う肌触り

リネンのシーツが肌に触れる、少しひんやりとした感触から始まった。テラスのガラス扉を開けた瞬間、12月の恩納村の風が、遠慮なく部屋の中まで入り込んできた。外気は18度くらいだったかもしれないけれど、裸足の足先には鋭い冷たさが突き刺さる。遠くに見えるクリスマスイルミネーションが、暗い海の上に小さな光の粒を散らしていた。それはまるで、誰かが不器用にこぼした塩の粒みたいに、静かに点滅している。隣に立つ君の肩が、私の肩にわずかに触れている。その接触面積の少なさが、今の私たちの距離感を正確に表している気がして、私はわざと少しだけ、重心を君の方へ傾けた。風の音が、低周波のノイズのように耳の奥で鳴っている。この静寂を壊さずに、ただ一緒に立っていたいと思う。言葉にするよりも、この冷たい空気の中で、互いの体温だけを頼りにしている状態が、今の私たちにはちょうどいいのかもしれない。


潮の香りが、肺の奥まで深く入り込んでくる。ハイアットリージェンシー 瀬良垣アイランド 沖縄のバルコニーから見る海は、昼間の鮮やかな青を脱ぎ捨てて、深いインディゴブルーに染まっていた。厚手のブランケットを肩に掛け直すと、ウールの重みが心地よく、同時に少しだけもどかしかった。隣にいる彼女の横顔が、室内の淡い光に照らされて、輪郭だけがぼんやりと浮かび上がっている。彼女が小さく肩をすくめたのが分かった。きっと足先が冷たいんだろうな、と思う。けれど、それを口に出して「大丈夫?」と聞くタイミングを、私はずっと測っていた。タイミングを逃し続けることは、ある意味で誠実なことだ。無理に距離を詰めないことで、今のこの心地よい緊張感を守りたい。波が砂浜に打ち寄せ、また戻っていく。その規則的なリズムが、私の心拍数とゆっくりと同調していく感覚があった。何も言わなくても、同じ空気を吸っているという事実だけで、十分な気がした。

ふたりが触れた、たった一つの輪郭

結局、私たちが一番鮮明に覚えているのは、レストランで出された地元の料理の、あの独特な温度だった気がする。温かい汁物と一緒に添えられていた、少し甘い味付けの野菜。スプーンで掬い上げた時の、とろりとした質感と、口の中でゆっくりとほどける感覚。その味について、私たちはほとんど会話をしなかった。ただ、どちらからともなく、同時に小さく頷いた。その瞬間だけは、違う景色を見ていたはずの二人の視線が、一つの点に重なった。

大晦日の夜、カウントダウンを待つロビーの喧騒の中で、私たちはあえて少し離れたベンチに座っていた。周りの賑やかさが遠くのBGMのように聞こえ、私たちの間には、とても濃密な空白が広がっていた。その空白は寂しさではなく、むしろ二人を包み込む心地よい繭のような重さを持っていた。時計の針が重なる直前、誰かが私の手をそっと握った。指先はまだ少し冷たかったけれど、手のひらから伝わる温度は、驚くほど確かだった。私たちは、派手な祝杯を上げる代わりに、ただ静かに、新しい年の始まりを呼吸で受け止めた。そのとき、私たちは初めて、お互いのリズムが同じ周波数に調整されたことを知ったのかもしれない。


濡れた砂浜に、ふたつの足跡が並んで、ゆっくりと波に消えていく。
  • 朝の7時、まだ誰もいないビーチを歩き、潮風で髪が乱れるのをそのままにすること
  • スイートルームの深いソファに沈み込み、あえて時計を見ずに昼寝をすること