← 戻る オリエンタルヒルズ沖縄

白いタイルの上に残った、小さな水たまり

白いタイルの上に残った、小さな水たまり

記憶に溶け込む、沖縄の五つの調べ

1. オリエンタルヒルズ沖縄のエグゼクティブスイートにあるプライベートプールで、プラスチックの小さな船が水面に落ちたときの「ぽちゃん」という音。表面張力がふっと途切れて、エメラルドグリーンの水面に同心円状の波紋が静かに広がっていく。下の子が眉間にしわを寄せ、真剣な顔で船を走らせていた。家族の時間は、案外こういう小さな波の積み重ねでできているのかもしれない。裸足で踏んだタイルの、ひんやりとした温度が心地よかった。

2. 「見て!お魚になったよ!」という、鼓膜を突き抜けるような高い笑い声。上の子がプールの中で激しく足をバタつかせ、弾ける水しぶきが太陽の光を反射して、空中にダイヤモンドのような粒を舞わせている。ふと見ると、白いバスローブをマントのように肩にかけ、スーパーヒーローのような格好でプールサイドをパトロールし始めていた。計画していた「優雅な休暇」とは程遠いけれど、その乱雑なリズムこそが、今の私たちにはちょうどいい気がする。

3. テラスの深いソファに身を沈めたとき、隣から漏れた「ふぅ……」という、重たい溜息。パートナーがようやく肩の力を抜いた合図だ。旅の緊張が潮に溶け出すように消えていく。私たちは言葉を交わさなくても、お互いの疲労と充足感が同じ温度であることを知っている。湿り気を帯びた四月の風が、南国の草木の香りを運んで肌を優しく撫でていった。

4. 水上に浮かぶレストランで、銀色のフォークが皿に触れたときの小さな金属音。足元を流れる水の気配が、音の輪郭を柔らかくぼかしている。新鮮な海ぶどうのプチプチとした食感が口の中で弾け、濃厚な磯の香りが鼻に抜けた。子供たちが珍しく静かに食事をしている時間は、まるで凪のように穏やかで、大人の心に贅沢な空白を届けてくれた。

5. 夜のバー「てぃんがーら」で流れる、ピアノの静かな旋律。琥珀色の照明の下、バカラグラスが触れ合う繊細な音と、子供たちの小さな囁き声が心地よく混ざり合っている。音階が水滴のように空間に降り積もっていく。完璧な調和ではないけれど、その不協和音さえも愛おしい。私たちはただ、そこに流れる時間に身を任せていた。もしかすると、この不完全さこそが一番の思い出になるのかもしれない。

子供たちが寝静まった後、テラスで聞く波の音だけが、本当の正解だった気がする。

  • プライベートプールの時間をあえて白紙にし、子供たちの好奇心に身を任せる贅沢を。
  • 水上レストランではドレスコードを忘れ、家族それぞれの「心地よさ」を優先して楽しむこと。