← 戻る BLISSTIA SUITES & RESORT 沖縄恩納村

氷が溶ける音と、誰かの笑い声だけが聞こえていた

氷が溶ける音と、誰かの笑い声だけが聞こえていた

黄金色の果実と、光に溶ける朝の喧騒

ダイニングに降り注ぐ光は、ミルクを混ぜたように白く、それでいて肌を撫でる温度は驚くほど優しい。テーブルに並んだ色鮮やかなフルーツは、まるで色とりどりのサンゴ礁が広がっているかのようで、その中で次男が執拗に指名したのは、完熟したパイナップルだった。口いっぱいに広がる突き抜けるような甘さと、鼻をくすぐる刺激的な酸味。「僕が一番大きいやつ食べる!」と宣言して頬張る彼の口元には、黄金色の果汁がキラキラと光っている。隣では長男が、弟のパンをこっそり狙う静かな権力争いを繰り広げていた。大人は、深く焙煎されたコーヒーの香りに包まれながら、その微笑ましい混沌を眺めていた。BLISSTIA SUITES & RESORT 沖縄恩納村の朝は、時間がゆっくりと溶けていく。急いで観光地へ向かう必要なんてない。子供たちがオレンジジュースをこぼし、スタッフがそれを慣れた手つきで拭き取ってくれる。そのやり取りの中に、完璧なマナーよりも、不完全な家族のあり方をそのまま受け入れてくれる、この場所ならではの柔らかい空気感があった。パイナップルの果汁がテーブルに一滴垂れたとき、ふと、今のこの騒がしい時間が、後から一番愛おしく思い出されるのかもしれないと感じた。

潮風に舞う砂糖の粒と、不格好な幸福感

昼過ぎ、車を走らせて恩納村の集落を歩いた。道端の小さな店で買ったサーターアンダギーは、外側がカリッとしていて、中は驚くほどしっとりと重い。指先に付いた白い砂糖の粒が、湿り気を帯びた潮風にさらされて、少しだけ肌に張り付く。揚げたての油の香ばしい匂いが、南国の強い日差しに混じって鼻腔を抜けていった。長男は「僕が一番大きいやつを食べるんだ」と誇らしげに掲げていたが、一口食べた瞬間にあまりの熱さに、「あつっ!あついよー!」と顔をくしゃくしゃにして踊り出す。その様子を見て、次男が真似して一緒に踊り始めた。観光ガイドに載っている絶景スポットを巡るよりも、こういう、なんてことのない「隙間の時間」にこそ、旅の正体が隠れている。誰かが転び、誰かが泣き、誰かがそれを笑う。そんな泥臭いやり取りが、沖縄の青い空にさらされて、少しずつ透明になっていく。もしかすると、旅とは「新しい自分を見つけること」ではなく、「今ここにある、かっこ悪い自分たちを許せるようになること」なのだろうか。口の中に残る油のコクと、遠くで鳴る波の音が、不思議と心を軽くしてくれた。

真夜中のバニラと、静寂に包まれる50平米の聖域

夜、部屋に戻ってからの儀式は、コンビニで買い込んだアイスクリームを分け合うことだった。BLISSTIA SUITES & RESORT 沖縄恩納村の全室50平米以上という贅沢な広さは、昼間は子供たちが全力で走り回るためのトラックだったが、夜になると、心地よい静寂を包み込むための大きな器に変わる。裸足で踏んだタイルのひんやりとした温度が、一日中歩き回った足の疲れを静かに吸い上げてくれる。次男がホテルの大きすぎるバスローブをマントのように羽織り、「僕は海の王様だ!」と宣言して廊下を駆け抜けた。けれど、裾に足を引っ掛けて派手に転び、そのまま床に寝転がって笑い出した。その屈託のない笑い声が、高い天井に反響して、ゆっくりと消えていく。やがて二人が深い眠りに落ち、部屋に本当の静寂が戻ってきたとき、私たちはようやく、自分たちだけの時間を手に入れた。ラナイから入り込む夜風が、森の深い沈黙を運んでくる。ベッドに深く沈み込み、窓の外に広がる星空を眺める。家族というチームで戦い抜いた一日の終わりに、この静寂に包まれる贅沢。それは、何かを得ることではなく、余計なものをすべて削ぎ落とした後に残る、純粋な充足感だった。溶けかかったバニラアイスの甘い後味が、まだ舌の端に残っていた。

波の音だけが、心地よく耳を撫でていった。

  • 恩納村の路地裏にある小さな菓子店で、揚げたてのサーターアンダギーを頬張ること。
  • 部屋のラナイで、海と森の境界線がゆっくりと混ざり合う時間をただ眺めること。