那須別邸 回

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Hotel signage on a mossy stone wall

ホテル情報

泊の記事

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1月 family U
36

冷たい指先が、お茶の湯気に溶けていく時間

凛冽な空気が肺の奥まで突き刺さる。1月の那須塩原は、すべてを凍てつかせるような静寂に包まれていた。雪を被った地面を叩く子供たちの小さな靴音が、乾いたリズムで響き渡る。「もう歩けないよ」と泣き言を漏らす次男の頬は、熟した林檎のように真っ赤だ。…

1月 friends U
34

湯気に隠れて、赤くなった鼻が見えなかった時間

冷たいオゾンの匂いと、湿ったウールの重い感覚。1月の那須塩原に降り立った瞬間、私たちの間に流れたのは「誰が一番先に凍りつくか」という、どうでもいい賭けだった。針のように刺さる冷気が肺の奥まで入り込み、鼻先がツンと痛む。そんな極限状態の中で、…

3月 couple U
36

指先に残った、ぬるいお茶の温度

那須湯本の冷え切った空気が、まだコートの肩に白く張り付いていた。那須別邸 回 / Nasu Bettei KAI のロビーに足を踏み入れた瞬間、静謐な空間に漂う白檀の香りが、張り詰めていた意識をゆっくりと解きほぐしていく。差し出されたウェル…

3月 family U
25

畳に落ちた、小さな足跡の温度

指先に触れたティーカップの陶器が、まだ少しだけ冷たい。窓の外に広がる空気は、頬に張り付く濡れた布のようにひんやりとしていて、3月の那須がまだ冬を離したくないと駄々をこねている気がする。目の前のテーブルに目をやると、杉の木目が不規則な川の流れ…

4月 friends U
35

冷たいグラスに、花びらが落ちた音

5年後の私たちへ。4月の風が頬を刺す冷たさと、土の下で目覚める生命の匂いが混じり合っていたあの日の感覚、まだ覚えているかな。きっと記憶の隅に追いやられていると思うけれど、この言葉たちが、当時の鮮やかな景色を呼び戻す鍵になりますように。…

6月 family U
16

雨の匂いと、脱ぎ捨てられた小さな靴

裸足で踏みしめたフローリングの、ひんやりとした温度。それが、那須別邸 回 / Nasu Bettei KAIに足を踏み入れた瞬間に刻まれた、最初の記憶だ。外はしとしとと降り続く六月の雨。湿り気を帯びた重い空気が肌にまとわりつくけれど、重厚な…

6月 friends U
13

濡れたサンダルの音と、誰の言葉でもなかった沈黙

傘の骨が一本折れた瞬間の、妙な連帯感 那須に降り立ったとき、空は低いグレーの天井のように垂れ込めていた。不意に強い風が吹き抜け、誰かの傘が情けなくひしゃげた瞬間、私たちは弾かれたように同時に吹き出した。「見てよ、その絶望的な形!」と笑い合う…

7月 couple U
16

浴衣の袖が、少しだけ触れ合った距離

扉を開けた瞬間、鼻腔をくすぐったのは、新調されたばかりの畳が放つ、青々とした若草のような香りだった。那須別邸 回 / Nasu Bettei KAIの「其の壱」に足を踏み入れると、外の世界の喧騒が嘘のように消え去り、ただ深い静寂だけが部屋を…

11月 couple U
34

お湯の湯気が、君の表情を少しだけぼかしていた

もし、この部屋を予約するかどうか迷っているのなら。あるいは、隣にいる人と何を話せばいいか分からなくて、ただ指先だけをいじっているのなら。そんなあなたに、この手紙を書いています。正解なんてどこにあるわけでもないけれど、ただそこに在ることだけが…

11月 family U
24

浴衣の袖が少し長すぎた、子供たちの背中

玄関に脱ぎ捨てられた、サイズのバラバラな靴。誰がいつ脱いだのかも分からないまま山積みにされているその光景に、ふと心地よい脱力感を覚えた。あんなに執着していた分刻みのスケジュール表を、もう三時間も見ていない。指先に残る冷たい外気の感覚が、部屋…

11月 friends U
30

濡れた落ち葉の匂いと、止まらなくなった笑い声

自動ドアが開いた瞬間、冬の訪れを告げる冷たい空気が鋭く頬を叩いた。湿った土の匂いと、かすかに混じる針葉樹の清冽な香り。11月の那須は、空気が研ぎ澄まされている。けれど、その鋭さが心地よくて、私たちは誰からともなく深く息を吸い込んだ。予定して…

12月 couple U
15

指先の温度が、ゆっくりと重なるまで

指先に触れるリネンのローブは、心地よい重みとわずかなざらつきを帯びていた。那須別邸 回 / Nasu Bettei KAIの客室「其の壱」に足を踏み入れた瞬間、耳に届いたのは完璧なまでの静寂だった。それは単なる無音ではなく、那須の山々を揺ら…