← 戻る ザ ロイヤルパークホテル アイコニック 名古屋

パジャマのままで見た、遠い街の灯り

パジャマのままで見た、遠い街の灯り

足の裏に吸い付くような、驚くほど厚い絨毯の感触。そこに、次男が裸足で走り回った小さな足跡が点々と残っている。プレミアムキングの客室は、子供が全力で疾走しても壁にぶつかるまでに数秒かかるほどの贅沢な距離があった。マットな質感の左官壁に囲まれた空間で、上の子は「ここなら最強の秘密基地が作れる」と、クッションを積み上げて小さな城を築き始める。大人が考える『広さ』とは違う、子供にとっての『自由な領土』のような場所。その境界線が心地よく曖昧なまま、部屋の中が少しずつ、家族の賑やかな生活の匂いで満たされていく。



幅240センチという圧倒的な広さを誇るベッドに、家族全員で潜り込む。洗い立てのシーツのひんやりとした冷たさが肌に触れた瞬間、ふっと肩の力が抜けた。旅の疲れは、目に見えない重力のように体に蓄積している。子供たちがもぞもぞと場所を譲り合い、誰かが誰かの足に軽く蹴られる。それでも、この広さがあれば、お互いの体温を分かち合いながら、同時に心地よい個の距離を保てる。深い眠りに落ちる直前、隣で規則正しく聞こえる子供の寝息が、世界で一番安心できるリズムに聞こえた。ここは単なる宿泊場所ではなく、戦い終えた家族が身を寄せる、柔らかい避難所のようだった。


ザ ロイヤルパークホテル アイコニック 名古屋 / The Royal Park Hotel Iconic Nagoyaの7階、ルーフトップテラスに出ると、名古屋の街が吐き出す低い唸りのような喧騒が聞こえてくる。風が手すりを通り抜けるたび、ひゅーっと小さな口笛のような音が混じる。そこに、不意に弾けた上の子の無邪気な笑い声が重なった。都会の騒音さえも、この高さから聞くと、どこか遠い国の心地よい音楽のように聞こえる。静寂とは、音が全くないことではなく、心地よい音が適切に配置されている状態のことなのだろう。頬を撫でる風に、かすかに春の予感が混じっていた。


朝食のブッフェで、深い色合いの八丁味噌カレーを皿に盛る。立ち上る白い湯気とともに、バターのまろやかな香りと、味噌の深く濃い芳醇な匂いが鼻をくすぐった。一口運べば、塩気とコクが舌の上で重なり合い、体の中からゆっくりと熱が広がっていく。次男は「ちょっと辛い」と顔をしかめながらも、皿の底まで綺麗に平らげていた。地元の味が、胃袋を通じてこの街に馴染ませてくれる。食後に啜るコーヒーの心地よい苦味が、まだ眠い意識を静かに、けれど確実に呼び覚ましていく。


午前6時の光は、まだ深い青に染まっている。部屋の隅に落ちる影が長く伸びていて、窓の外に見える名古屋テレビ塔が、淡い光の中にぼんやりと浮かんでいた。カーテンの隙間から差し込む一筋の光が、床に転がった小さな積み木を鋭く照らしている。世界が完全に目覚める前の、あの独特な静けさ。誰も何も求めていない、ただそこに在るだけの時間。その光の粒子が、家族の輪郭を柔らかく縁取っているように見えた。完璧なスケジュールなんて、この光の前では何の意味もなさないのかもしれない。


サイドテーブルの上に、忘れられた小さなプラスチックの恐竜がひとつ。その隣には、美濃和紙の柔らかな質感が心地よいメモ帳が置かれている。洗練されたホテルのしつらえの中に、場違いな子供のおもちゃが混ざっている光景。けれど、その不調和こそが、私たちがここにいた確かな証拠なのだと感じる。指先で和紙のざらつきを確かめながら、ふと思った。旅の思い出とは、ガイドブックに載っている有名な景色ではなく、こうした小さな『忘れ物』の集積なのだろうか。


テラスのベンチに、肩を寄せ合って座る。4月の柔らかな風が、桜の花びらをひとひら、誰かの肩に届けた。誰が話し出すでもなく、ただ遠くの景色を眺めている。子供たちが珍しく静かで、その静寂が心地よい重さを持って私たちを包み込んでいた。互いの存在を、言葉ではなく、触れている肩の温もりで確認し合う。ザ ロイヤルパークホテル アイコニック 名古屋 / The Royal Park Hotel Iconic Nagoyaで過ごした時間は、特別な何かを成し遂げることではなく、ただ『一緒にいる』という、当たり前で、けれど何よりも贅沢な時間だった。

夜の街に溶けていく、家族の小さな笑い声。

  • 子供が走り回っても安心できるプレミアムキングの広々とした客室を選び、あえて何もしない時間を贅沢に過ごすこと
  • 朝食の八丁味噌カレーを家族でシェアして、名古屋ならではの深い味わいを一緒に楽しむこと