← 戻る ダイワロイネットホテル熊本銀座通りPREMIER

誰が最後の一口を食べるかで決まる夜

誰が最後の一口を食べるかで決まる夜

真夜中の共犯者たち、空腹という名の口実

指先に触れるコンビニ袋のビニールが、夜の冷気にさらされて、かすかに硬く強張っていた。十月の熊本は、歩いていると不意に秋の深さを思い出させる。湿り気を帯びた夜風が頬を撫で、遠くで車の走行音が低く響く。花畑町駅からホテルまで歩くわずかな時間、私たちは「誰が一番早くホテルに着くか」という、大人のすることとは思えない子供じみた賭けに興じていた。結果的に、全員がほぼ同時にダイワロイネットホテル熊本銀座通りPREMIERの入り口に辿り着き、互いの顔を見て呆れるという結末になったけれど。袋の中には、地元の限定スナックと、なんとなく選んだ甘い飲み物。それを持ってエレベーターに乗る時の、密やかな期待感と高揚感が、心地よいリズムとなって胸を叩いていた。

賑やかな静寂と、心地よい言い争い

「ねえ、さっきのルート、絶対におかしかったよね。君が『こっちが近道だ』って言い張ったせいで、熊本城の方向とは真逆に向かってた気がするんだけど」

ジュニアスイートの広々とした床に、買ってきたお菓子を遠慮なくぶちまける。六十平米という贅沢な空間は、私たち三人がどれだけ足を伸ばして転がっても、誰にもぶつからない絶妙な距離感を与えてくれた。柔らかな照明が部屋を包み込み、外の喧騒が急に遠のいていく。この白い空間に身を投げ出すと、まるで都市の喧騒から切り離された秘密のシェルターに潜り込んだような気分になる。

「いいじゃん、結果的にいい景色が見られたし。それに、あの迷路みたいな道こそが旅の醍醐味っていうでしょ」

「そういう適当なことを言うから、私たちはいつも迷子になるんだよ」

そう言いながら、一人がマッサージチェアに深く沈み込む。機械的な振動が背中から伝わり、一日中歩き回ったふくらはぎの強張りが、ゆっくりと、心地よくほどけていくのがわかった。誰かがポテトチップスを口に放り込み、パリッという乾いた音が静かな部屋に心地よく響く。USBポートから充電されるスマートフォンの小さな点滅だけが、ここが現代の都市であることを思い出させた。私たちは互いの失敗を笑い合い、明日行く予定の場所について、結局決められないままに話し続けた。正解なんてどこにもないけれど、この四角い避難所の中では、その不確かさこそが一番贅沢な時間のように感じられた。言葉を重ねるたびに、旅の疲れが心地よい充足感へと塗り替えられていく。

満たされた後の、深い凪の時間

最後の一口のチョコを誰が食べるかで、またくだらない議論が始まったけれど、やがて心地よい疲労感が、温かい波のように押し寄せてきた。飲み干したペットボトルの結露が、テーブルに小さな透明な輪を描いている。言葉が途切れ、代わりに加湿機能付き空気清浄機の低いハム音が、部屋の静寂を丁寧に塗りつぶしていく。しっとりと潤った空気が喉の奥を優しく包み込み、意識がゆっくりと深い場所へ沈んでいく感覚。共有の空気が、ゆっくりと温度を下げ、私たちはそれぞれに柔らかいシーツの海へと潜り込んだ。明日になればまた、地図を読み間違えて笑い合うのだろう。でも今は、ただこの静寂に身を任せていたいという、贅沢な諦めに浸っていた。

窓の外、遠くに見える熊本城のシルエットが、夜の闇に静かに溶け込んでいた。

  • 地元のコンビニで買える、熊本限定の馬刺し風おつまみ。深夜の贅沢にちょうどいい。
  • 飲み過ぎた夜に、キンキンに冷えた水と、ホテルの清潔なタオルで顔を洗う瞬間。