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水たまりに映った金色の光は、空気より冷たかった

水たまりに映った金色の光は、空気より冷たかった

凍りつくような冬の風が、容赦なく頬を叩く。アスファルトを叩くスーツケースのキャスターの乾いた音が、静まり返った街に規則正しいリズムを刻んでいた。誰が一番に迷うか賭けをしたけれど、結局全員で同じ方向に間違った。呆れるほどの一致団結に、寒さの中で思わず吹き出した。


南京町の喧騒の中、手にした肉まんから立ち上る真っ白な蒸気。指先に伝わる熱さが、かじかんだ皮膚をゆっくりと解きほぐしていく。一口頬張れば、弾けるような甘い肉汁が口いっぱいに広がり、胃の底からじんわりと温もりが染み渡った。この熱さえあれば、神戸の冬を乗り切れる気がした。
「駅から徒歩3分って言ったじゃん!」という、誰の耳にも届くほどの叫び声。ナビ担当への容赦ないツッコミに、周囲の視線が集まる。けれど、視界に神戸プラザホテルウエストの落ち着いた佇まいが見えた瞬間、私たちは同時に黙って笑い合った。正解か不正解かなんて、もうどうでもいい。
コーナーツインの部屋に足を踏み入れた瞬間、現代的な設備とノスタルジックな空気が心地よく混ざり合っていた。最先端のテレビをどう操作するかで15分ほど揉めたけれど、その不器用なやり取りすら心地よいノイズに感じられた。私たち、意外とアナログな人間なのかもしれない。
ふかふかのベッドに体を沈めたとき、重力がゆっくりと自分を回収していく感覚があった。歩き疲れた足が、シーツのひんやりとした感触とマットレスの深い柔らかさに溶けていく。このまま液体になって、部屋の隅々まで広がってしまいたい。そんな贅沢な倦怠感に身を任せた。
サイドテーブルの滑らかな質感に触れると、指先に心地よい冷たさが残る。USBポートから漏れる小さな青い光が、暗がりの部屋に静かなアクセントを添えていた。バスルームまで、裸足でちょうど七歩。その正確な距離感が、見知らぬ土地での不安を安心感へと変えてくれた。
ルミナリエの光が、街全体を濃厚な金色の液体に変えていた。人の波に押されながら、表面張力で繋がっているみたいに肩を寄せ合って歩く。水たまりに映った光の粒が、揺れて、混ざって、また離れていく。その不規則なリズムが、私たちの鼓動と重なり、心地よい高揚感を生んでいた。
旅の終わりが近づくと、騒がしかった感情が静かに沈殿していく。激しい笑い声やくだらない言い争いも、今は心地よい温度で心に溜まっている。神戸プラザホテルウエストの静寂に包まれた夜が、バラバラだった私たちの時間を、一本の美しい物語に編み上げてくれた気がした。

夜の街に溶け込む、小さな光の粒。

  • 南京町で迷子になって、たまたま見つけた路地裏の店に飛び込んでみて。
  • ルミナリエの光を背景に、あえてボケた写真をお互いに撮り合ってみて。